non-dipper型高血圧患者においてはアムロジピンを夜に飲んだ方が良い?(SR&MA; Rev Cardiovasc Med. 2019)

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カルシウム拮抗薬アムロジピンの効果的な服用タイミングは?

社会経済の発展と人口の高齢化に伴い、慢性疾患は中国および世界の住民の健康に影響を与える主要な公衆衛生問題となっています(PMID: 28097354PMID: 25174471)。高血圧は、有病率の高い最も一般的な慢性疾患の1つであり、心血管および脳血管疾患の最も重要な危険因子です(PMID: 17452508PMID: 24886821)。高血圧ガイドラインによると、高血圧治療にはアンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)、カルシウム拮抗薬(CCB)、利尿薬、βブロッカーを含む5クラスの降圧薬が提案されています(PMID: 27456450)。

第3世代のジヒドロピリジン(DHP)系カルシウム拮抗薬(CCB)であるアムロジピンは、抗高血圧薬として広く使用されています。CCBの作用機序は、電位依存性L型カルシウムチャネルを介した細胞外カルシウムの流入を阻害することにより、血管平滑筋細胞(VSMCs)の細胞内カルシウム濃度を低下させることで発揮されます。このカルシウム交換が直接的に血管拡張や降圧作用をもたらします(PMID: 14512371)。

正常な血圧は24時間以内に規則的に変動し、午前6時〜9時と午後4時〜6時にピークを迎え、その後徐々に下がり、午前2時〜3時に最も低くなります。高血圧治療の目的は、血圧をコントロールして過度の変動を避け、心血管・脳血管のイベントの発生を減らすことにあります。

アムロジピンは、血圧をコントロールする長時間作用型CCBです。1日1回の投与で、24時間以内に血圧をよりよくコントロールすることができます。しかし、いつ服用するのが最も適切なのかについては充分に検証されていません。また、服用時間帯による効果の違いについても明らかとなっていません。

そこで今回は、アムロジピンを朝あるいは夜に服用した場合に降圧効果に違いが生じるのかを比較検討したメタ解析の結果をご紹介します。

試験結果から明らかになったことは?

合計19件のランダム化対照試験と1,215例の参加者が対象となりました。

アムロジピンの投与時間は、診察室血圧(RR -0.03、95%CI -0.93〜0.88、P=0.96)、日中血圧(RR -0.30、95%CI -1.05〜0.46、P=0.44)、24時間平均血圧(RR 1.15、95%CI -0.39〜2.70、P=0.14)および心拍(RR 0.11、95%CI -1.22〜1.45、P=0.87)に影響を与えませんでした。

アムロジピンを夕方に投与
(vs. 朝に投与)
相対リスク(RR)
夜間血圧の低下RR 2.04
95%CI 1.27〜2.81
P<0.00001
non-dipper変量の増加RR 0.51
95% CI 0.41〜0.63
P<0.00001
抗高血圧効果RR 0.64
95%CI 0.55〜0.74
P<0.00001

アムロジピンを夕方に投与すると、夜間血圧を有意に低下させ(RR 2.04、95%CI 1.27〜2.81、P<0.00001) 、non-dipper変量の増加(RR 0.51、95% CI 0.41〜0.63、P<0.00001)、より優れた抗高血圧効果(RR 0.64、95%CI 0.55〜0.74、P<0.00001)を示しました。

コメント

高血圧患者は、夜間の血圧変動により以下の4タイプに大別できます。今回の研究の対象となったのは、3番目のnon-dipper型です。

  1. Dipper(ディッパー)型
    Dipper型は、夜間の血圧が昼間の覚醒時と比較して10〜20 %の低下が見られる正常なタイプです。ちなみに夜間の血圧低下をdipping現象といい、ここからdipper型と名付けられました。
  2. Extreme-dipper(エクストリーム・ディッパー)型
    昼間よりも夜間の血圧が過剰に(昼間の血圧平均よりも20%以上)低くなるタイプをextreme-dipper型と呼びます。高齢の高血圧患者のextreme-dipperでは、症状が現れない無症候性脳梗塞が水面下で進行しているケースがあり、脳卒中の発症リスクが高いとされています。
  3. Non-dipper(ノン・ディッパー)型
    夜間の血圧が昼間とあまり変わらず、血圧下降度が0〜10%以下と少ないタイプです。Dipper型に比べて臓器(脳や心臓、腎臓など)障害や、心血管死亡のリスクが高いとされています。
  4. Riser(ライザー)型
    昼間よりもむしろ夜間血圧のほうが上昇するタイプです。Dipper型やnon-dipper型に比べて、心血管死亡リスクが有意に高いことが報告されています。Riser型の高血圧患者で、さらに睡眠時間が短縮すると、心血管疾患リスクが相乗的に増加することも報告されています。

さて、本試験結果によれば、アムロジピンの投与タイミングによって、診察室血圧、日中血圧、24時間平均血圧、そして心拍に影響は見られませんでした。一方、アムロジピンを夕方に投与すると、朝の投与と比較して、夜間血圧を有意に低下させ 、non-dipper変量の増加、より優れた降圧効果が示されました。本解析では心血管イベントのリスクについて検討されていないことから、前述の効果が患者予後へどのような影響を与えるのかは不明です。また例数は1,215例と、やや少ない印象です。

とはいえ、より血圧コントロールが良好であることは、心血管リスクや死亡リスクを低下させることが報告されていることも踏まえると、アムロジピンの服用タイミングは重要であると考えられます。高血圧症患者、特にnon-dipper型高血圧症患者においては、アムロジピンを夕方に服用した方が、より良い血圧コントロールをもたらすかもしれません。

続報に期待。

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✅まとめ✅ 高血圧症患者、特にnon-dipper型高血圧症患者にとって、アムロジピンを夕方に服用することはより有益であると思われる。

根拠となった試験の抄録

背景:朝投与と夜投与の降圧効果を比較するためにメタ解析を実施した。

方法:Pubmed、Embase、Cochrane、Web of Science CNKI、VIP、Wanfangのデータベースを2018年12月まで検索した。合計19件のランダム化対照試験と1,215例の参加者をこのメタ解析の対象とした。

結果:アムロジピンの投与時間は、診察室血圧(RR -0.03、95%CI -0.93〜0.88、P=0.96)、日中血圧(RR -0.30、95%CI -1.05〜0.46、P=0.44)、24時間平均血圧(RR 1.15、95%CI -0.39〜2.70、P=0.14)および心拍(RR 0.11、95%CI -1.22〜1.45、P=0.87)に影響を与えなかった。アムロジピンを夕方に投与すると、夜間血圧を有意に低下させ(RR 2.04、95%CI 1.27〜2.81、P<0.00001) 、non-dipper変量の増加(RR 0.51、95% CI 0.41〜0.63、P<0.00001)、より優れた抗高血圧効果(RR 0.64、95%CI 0.55〜0.74、P<0.00001)を示した。

考察:高血圧症患者、特にnon-dipper型高血圧症患者にとって、アムロジピンを夕方に服用することはより有益であると思われる。本研究の結論を検証するためには、異なる地域で、より多くのサンプルサイズで実施された、より質の高い試験が必要である。

引用文献

Anti-hypertensive efficacy of amlodipine dosing during morning versus evening: A meta-analysis
Yifan Luo et al. PMID: 31345001 DOI: 10.31083/j.rcm.2019.02.31814
Rev Cardiovasc Med. 2019 Jun 30;20(2):91-98. doi: 10.31083/j.rcm.2019.02.31814.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31345001/

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