DOAC/OACをどのように使い分けるのか?
直接経口抗凝固薬(Direct Oral Anticoagulant, DOAC)あるいは経口抗凝固薬(OAC)は、ビタミンK拮抗薬であるワルファリンと比較して、食事との相互作用が少なく、頻繁なモニタリングを必要としない(正確にはモニタリングできる検査項目がほぼない)薬剤です。
これまでに4種類の薬剤が発売されていますが、どのように使い分けるのかについての情報は限られています。
そこで今回は、DOAC/OACの情報をまとめ比較表を作成しました。
DOAC/OACのまとめ・比較表
追加情報:心房細動患者における非ビタミンK拮抗薬の経口抗凝固薬 NOACsの使用に関する実践的ガイド(欧州不整脈学会 European Heart Rhythm Association, EHRA 2021)
Table 1. 心房細動患者におけるNOAC治療の適応と禁忌の選択
患者の状態 | NOACの適格性 | コメント |
機械的人工弁 | 禁忌 | ■主要なランダム化比較試験の 対象患者から除外されている。 ■2件の臨床試験では 転機悪化が示された (RE-ALIGN試験、RIWA試験) |
中等度〜重度の僧帽弁狭窄症 (通常はリウマチ性) | 禁忌 | ■主要なランダム化比較試験の 対象患者から除外されている。 ■VKAに比べ有効性・安全性が 低いことの根拠が乏しい |
その他の軽度〜中等度の 心臓弁膜症 | NOAC試験に 組入れられている 使用許可 | ■有効性と安全性に関するデータは、 心臓弁膜症のない患者と同様(ESC、17-22) ■NOACランダム化比較試験からのいくつかのデータ VKAに対する非劣性を示した単一のRCT(RIVER試験) 心房細動のない患者は通常、術後3〜6ヵ月で アスピリンを使用するため、心房細動と診断された場合、 脳卒中予防のためにNOAC療法が許容される |
重症の大動脈弁狭窄症 | 限られたデータ (RE-LY試験で 除外されている) | ■有効性と安全性が低いとする病態生理学的な根拠がない ■ほとんどの人が介入を受ける |
経カテーテル大動脈弁留置術 | 使用許可 | ■RCT 1件 + 観察データ おそらく抗血小板療法の併用が必要 |
経皮的大動脈弁形成術 | 慎重投与 | ■前向きデータはない おそらく抗血小板療法の併用が必要 |
肥大型心筋症 | 使用許可 | ■VKAと比較して有効性と安全性が劣ることの合理性はない 観察データによればNOACsの方が良い結果 |
関連記事
【DOACとの薬物-薬物相互作用においてベッドサイドで簡単に実施できる推奨事項とは?(※校正前版; AJM2021)】
【経口抗凝固薬服用患者における出血管理はどのように行えば良いですか?(米国心臓病学会の指針; J Am Coll Cardiol. 2020)】
【Up To Date for SGLT2阻害薬】SGLT2阻害薬の安全性比較(ナラティブレビュー; 最終更新年月:2021年5月)
【Up-To-Date Evidence for DPP-4 inhibitors(Last Up Dated on OCT 12th, 2018)】
【Up To Date for HIF-PH阻害薬】HIF-PH阻害薬の比較(ナラティブレビュー; 最終年月:2021年5月)
【Up-to-Date for Flu infection】インフルエンザ検査の是非まとめ・番外編あり
コメント