Comparison of Pegfilgrastim and Filgrastim for the Primary Prophylactic Effect for Preventing Febrile Neutropenia in Patients Undergoing Rituximab with Dose-adjusted EPOCH Chemotherapy
Tatsuo Kataoka et al.
Yakugaku Zasshi. 2019;139(4):629-633. doi: 10.1248/yakushi.18-00101.
PMID: 30930398
Keywords: dose-adjusted etoposide, prednisolone, vincristine, cyclophosphamide and doxorubicin with rituximab chemotherapy; filgrastim; pegfilgrastim; primary prophylaxis.
背景
非ホジキンリンパ腫患者には、用量調整済みエトポシド、プレドニゾン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、ドキソルビシンとリツキシマブ(DA-EPOCH-R)の併用療法が行われている。
発熱性好中球減少症(FN)はミエロ抑制型化学療法の治療でよくみられる合併症であり、化学療法の投与量を維持するためにはFNを予防することが重要である。
近年、日本ではFNの一次予防としてペグフィルグラスチムが使用されているが、DA-EPOCH-Rではペグフィルグラスチムを一次予防に使用した症例はほとんど報告されていない。
方法
本研究では、広島大学病院でDA-EPOCH-Rを受けた患者を対象に、ペグフィルグラスチムとフィルグラスチムの有効性をレトロスペクティブに比較検討した。
有効性の評価は、FNおよび重篤な好中球減少症(好中球数500/μL未満)の発生率、入院日数、化学療法の投与量に基づいて行った。
結果
・患者10例が包含基準を満たした:ペグフィルグラスチム(n=5、30サイクル)またはフィルグラスチム(n=5、16サイクル)。
・その結果、第1サイクルではペグフィルグラスチムとフィルグラスチムの間で有効性に差は認められなかった。
・フィルグラスチム群では5例中2例が全サイクルで投与量を減少させたが、ペグフィルグラスチム群では投与量を減少させた例は認められなかった。
結論
以上のことから、DA-EPOCH-RによるFNの一次予防には、ペグフィルグラスチムの方がフィルグラスチムよりも優れていると考えられた。
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本試験の特徴
単施設かつ小規模な後ろ向き研究ですが、日本から発表された貴重な研究結果です。
当初は20例を登録していましたが、10例は試験から除外されています。
本研究から明らかになったことは?
DA-EPOCH-R治療を受けた非ホジキンリンパ腫患者10例を対象とし、有効性として、白血球減少症(グレード4)、好中球減少症(グレード4)、発熱性好中球減少症、化学療法開始からの入院期間、投与量の1段階減量が評価されました。
サンプルサイズが小さいため、統計学的には両群間に差がありませんでした。ただし、白血球減少症(グレード4)、好中球減少症(グレード4)、化学療法開始からの入院期間においては、ペグフィルグラスチム群で減少傾向でした。
適応症(2020年12月時点)
フィルグラスチム(グラン®️)
造血幹細胞の末梢血中への動員
造血幹細胞移植時の好中球数の増加促進
がん化学療法による好中球減少症
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の治療に支障を来す好中球減少症
骨髄異形成症候群に伴う好中球減少症
再生不良性貧血に伴う好中球減少症
先天性・特発性好中球減少症
ペグフィルグラスチム(ジーラスタ®️)
がん化学療法による発熱性好中球減少症の発症抑制
✅まとめ✅ DA-EPOCH-RによるFNに対する一次予防において、ペグフィルグラスチムの方がフィルグラスチムよりも優れているかもしれない
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