Association of Coffee Intake With Survival in Patients With Advanced or Metastatic Colorectal Cancer
Christopher Mackintosh et al.
JAMA Oncol. 2020 Sep 17;6(11):1713-1721.
doi: 10.1001/jamaoncol.2020.3938. Online ahead of print.
PMID: 32940631
PMCID: PMC7499248 (available on 2021-09-17)
DOI: 10.1001/jamaoncol.2020.3938
試験の重要性
コーヒーに含まれるいくつかの化合物は、抗酸化作用、抗炎症作用、インスリン感受性作用を有しており、抗がん作用に寄与する可能性がある。
疫学研究では、コーヒー消費量の増加と大腸がんの再発・死亡率の減少との関連が確認されている。しかし、進行性または転移性の大腸がん患者におけるコーヒー消費量と生存期間との関連は不明である。
目的
進行性または転移性大腸癌患者におけるコーヒー消費と疾患進行および死亡との関連を評価する。
試験デザイン、設定、参加者
本前向き観察コホート研究には、前治療歴のない局所進行性または転移性の大腸がん患者1,171例が含まれており、標準的な化学療法にセツキシマブおよび/またはベバシズマブの追加投与を比較する第 3 相臨床試験である Cancer and Leukemia Group B (Alliance)/SWOG 80405 に登録されていた。
患者は、登録時に半定量的な食事頻度調査票を用いて食事摂取量を報告した。
データは2005年10月27日から2018年1月18日まで収集し、5月1日から2018年8月31日まで分析した。
曝露
1日あたりのカップ数で測定した総コーヒー摂取、カフェインレスコーヒー、カフェイン入りコーヒーの消費量。
主なアウトカムおよび測定法
全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)。
結果
・解析に含まれた患者 1,171例のうち(男性 694例[59%];年齢中央値 59[四分位間範囲 51~67歳])。生存患者の追跡調査期間は中央値 5.4年(10%、1.3年;IQR 3.2~6.3年)であった。
・合計 1,092例(93%)の患者が死亡または病勢が進行していた。
・コーヒー消費量の増加は、がん進行(1カップ/日 増加のハザード比[HR] 0.95;95%CI 0.91〜1.00;傾向のP = 0.04)および死亡(1カップ/日 増加のHR 0.93;95%CI 0.89〜0.98;傾向のP = 0.004)リスクの減少と関連していた。
・コーヒーを2~3カップ/日 摂取した参加者は、コーヒーを飲まなかった参加者と比較して、OSの多変量解析可能なHRが0.82(95%CI 0.67~1.00)、PFSのHRが0.82(95%CI 0.68~0.99)であった。
・1日に少なくともコーヒーを4杯 摂取した参加者の多変量解析可能なHRは、OSで0.64(95%CI 0.46〜0.87)、PFSで0.78(95%CI 0.59〜1.05)であった。
・有意な関連はカフェインレスとカフェイン入りのコーヒー、両方で示された。
結論と関連性
コーヒーの消費は、進行性または転移性大腸がん患者における病勢進行および死亡リスクの低下と関連している可能性がある。
基礎となる生物学的メカニズムを解明するためには、さらなる研究が必要である。
コメント
コーヒー摂取は、様々な病態に効果(病勢の低下、病態の進行抑制など)を示すことが報告されています。特に “がん” に対しては、コーヒ摂取とがんの再発・死亡率の減少との関連性が示されています。一方、進行性または転移性の大腸がん患者における病勢進行および死亡リスクについては検証されていませんでした。
さて、本試験結果によれば、1,171例を対象とした前向きコホート研究において、コーヒー消費量の増加は、がん進行および死亡リスクの減少と関連していました。また、カフェインの有無による効果の違いはないようです。ただし、コーヒー摂取量との相関性は明確ではないようですので、今後の検証結果に注目していきたいところです。
コーヒーを摂取できる対象で病態が進行していない、死亡リスクが低い可能性はありますので、因果の逆転については念頭においた方が良いと考えます。
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