Ventilation Techniques and Risk for Transmission of Coronavirus Disease, Including COVID-19: A Living Systematic Review of Multiple Streams of Evidence
Holger J Schünemann et al.
Ann Intern Med. 2020 May 22;M20-2306. doi: 10.7326/M20-2306. Online ahead of print.
PMID: 32442035
PMCID: PMC7281716
DOI: 10.7326/M20-2306
Primary funding source: World Health Organization.
Keywords: COVID-19; Intermittant mandatory ventilation; Oxygen; Randomized controlled trials; Research laboratories; Respiratory failure; Rivers; SARS coronavirus; Systematic reviews; Ventilators.
背景
コロナウイルス症2019(COVID-19)の呼吸不全の治療には機械換気を使用する。
目的
COVID-19の原因となるものを含む、コロナウイルス感染症に対する換気技術の利点と弊害に関する複数の証拠をレビューする(PROSPERO登録:CRD42020178187)。
データソース
21 standard、World Health Organization-specific、COVID-19-specific databasesを、言語制限なしに、2020年5月1日まで検索した。
試験の選択
重症急性呼吸器症候群(SARS)または中東呼吸器症候群(MERS)を含むコロナウイルス感染症患者、または低酸素呼吸不全を有する患者において、異なる酸素化アプローチを比較する任意のデザインおよび言語の研究。
コロナウイルスのエアロゾル分散について、動物学的、機械学的、実験室的、前臨床的なエビデンスを収集した。
エアロゾル発生手技(aerosol-generating procedures, AGPs)からの医療従事者へのウイルス感染のリスクを評価した研究が含まれている。
データ抽出
独立かつ重複したスクリーニング、データの抽出、バイアス評価のリスク(GRADEはエビデンスの確実性、AMSTAR 2はシステマティックレビューに含まれる)を実施した。
データ合成
・研究123件が対象となった(COVID-19に関する45件、SARSに関する70件、MERSに関する8件)が、重要な交絡因子を調整した研究は5件(COVID-19に関する1件、SARSに関する3件、MERSに関する1件)のみであった。
・COVID-19入院患者を対象とした研究では、非侵襲的人工呼吸(noninvasive ventilation, NIV)の方が侵襲的機械換気(invasive mechanical ventilation, IMV)よりも死亡率がわずかに高いことが報告されているが、相反する研究2件(MERS患者を対象とした1件とSARS患者を対象とした1件)では、NIVによる死亡率の低下が示唆されている(非常に確実性の低いエビデンス)。
・SARS患者を対象とした2件の研究では、機械換気を行わない場合と比較してNIVによる死亡率の低下が報告されている(確実性の低いエビデンス)。
・2件のシステマティックレビューでは、従来の酸素療法と比較してNIVによる死亡率の大幅な低下が示唆されている。
・他の研究では、AGPsからの感染の確率が高いことが示唆されている。
試験の限界
COVID-19での直接的な研究は限られており、報告が不十分である。
結論
間接的で確実性の低い証拠は、IMVと同様に、NIVの使用はおそらく死亡率を減少させるが、医療従事者へのCOVID-19の感染リスクを増加させる可能性があることを示唆している。
コメント
コロナウイルス感染症に対する機械換気の影響を検討した試験。組み入れられた研究は5件と少なめです。対象となった研究5件の内訳は、COVID-19に関する研究1件、SARSに関する研究3件、MERSに関する研究1件でした。
さて、研究結果によれば、機械換気によりコロナウイルス感染症患者の死亡リスクが低下するようです。
ただし、研究の質が低く、今後の研究結果によっては、結果が覆る可能性は充分考えられます。またシステマティック・レビューですので、患者背景は一貫しておらず、より重傷感染者において、機械換気によりリスクが低下する可能性が考えられます。
したがって現状では、機械換気が必要な患者に、必要な期間、実施することが妥当であると考えます。
続報に期待。
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