70歳以上の高齢女性におけるマンモグラフィー検査は乳がん死亡率を低下できますか?(アメリカ人口ベース コホート研究; Ann Intern Med. 2020)

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Continuation of Annual Screening Mammography and Breast Cancer Mortality in Women Older Than 70 Years

Ann Intern Med. 2020.

DOI: 10.7326/M18-1199

Primary Funding Source: National Institutes of Health.

PMID: 未

背景

ランダム化試験では、50歳から69歳までの間に乳がんのスクリーニングを開始し、10年間継続すると乳がんの死亡率が低下することが示されている。

しかし、女性がマンモグラフィのスクリーニングを安全に停止できるかどうか、またはいつ検証できるかは研究されていない。

米国では、75歳以上の女性のうち推定52%がマンモグラフィのスクリーニングを受けている。

目的

70〜84歳のメディケア受給者の乳がん死亡率に対する乳がんスクリーニングの効果を推定する。

試験設計

2つのスクリーニング戦略の大規模な人口ベースの観察研究:毎年のマンモグラフィの継続 vs. スクリーニングの停止

試験設定

米国メディケアプログラム、2000年〜2008年。

試験参加者

少なくとも10年の平均余命があり、以前に乳がんと診断されておらず、マンモグラフィ検査を受けた70〜84歳の受給者105,813人。

アウトカムの測定

8年間の乳がん死亡率、発生率、および治療、さらに年齢層ごとのマンモグラフィスクリーニングの陽性的中率。

結果

・70〜74歳の女性では、スクリーニングの継続と中止の間において、乳がん死亡の8年リスクの推定差は、女性1,000人あたり-1.0(95%CI、-2.3〜0.1)だった。

★ハザード比 = 0.78 [CI 0.63〜0.95]

(負のリスク差は継続を支持する)

—-

・75〜84歳の人々では、対応する死亡リスク差は、女性1,000人当たり0.07人(CI -0.93〜1.3)だった。

★ハザード比 = 1.00 [CI 0.83〜1.19]

—-

試験の限界

利用可能なメディケア・データでは、スクリーニング後の追跡期間はわずか8年間である。

観測データを使用する他の研究と同様に、推定値は残留交絡の影響を受ける可能性がある。

結論

75歳以上の乳がんスクリーニングを年1回継続しても、スクリーニングを中止する場合と比較して8年間の乳がん死亡率の大幅な低下は認められなかった。

コメント

まず50-69歳では乳がん検査を受けた方が良い、という結果を知りませんでした。感覚的に65歳以上での検査による益は少ないのかなと思っていました。

さて、研究結果によると、70-74歳においても年1回のマンモグラフィー検査は受けた方が良さそう。一方、75-84歳では検査による益はなさそう。

あくまでも仮説生成ですが、感覚的には納得できます。前立腺がんについても同じですが、いわゆる高齢者でスクリーニングを続ける益は少なそうです。

✅まとめ✅ 年1回のスクリーニング検査において、70-74歳では死亡リスクが低下したが75-84歳ではスクリーニングを中止しても死亡リスクは変わらなかった

コメント

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