Favipiravir versus Arbidol for COVID-19: A Randomized Clinical Trial
Chang Chen et al.
doi: https://doi.org/10.1101/2020.03.17.20037432
This trial is registered with Chictr.org.cn (ChiCTR2000030254).
Funding Statement: This work was supported by the National Key Research and Development Program of China (2020YFC0844400).
背景
流行性コロナウイルス病2019(COVID-19)に対する臨床的に証明された有効な抗ウイルス戦略は存在しない。
方法
COVID-19 の成人患者を対象に、プロスペクティブ、ランダム化、対照、非盲検の多施設共同試験を実施した。
患者を1:1の割合でランダムに割り付け、通常療法+Umifenovir(Arbidol®️、200mg×3/日)またはファビピラビル(1600mg×2/日/初日、その後600mg×2/日)を10日間投与した。
主要評価項目は7日目の臨床的回復率であった。
副次的転帰として、発熱・咳嗽の緩和までの時間、補助酸素療法(AOT)または非侵襲的機械的人工呼吸(NMV)の実施率を収集した。
安全性データは17日間収集した。
結果
・COVID-19患者として登録された240例がランダム化され、120例がファビピラビル投与群(116例)、120例がUmifenovir投与群(120例)に割り付けられた。
・7日目の臨床的回復率は、Favipiravir投与群(71/116例)とArbidol投与群(62/120例)で有意差は認められなかった(P=0.1396、回復率の差:0.0954、95%CI:-0.0305~0.2213)。
・ファビピラビルは、発熱(差:1.70日、P<0.0001)と咳嗽(差:1.75日、P<0.0001)の両方の症状が緩和するまでの期間が短かった。
・AOT、NMV率に差は認められなかった(いずれもP>0.05)。 また、ファビピラビル関連の有害事象として最も多く認められたのは血清尿酸値の上昇であった(16/116例、OR =5.52、P=0.0014)。
結論
COVID-19患者において、ファビピラビルはUmifenovirと比較して7日目の臨床的回復率を有意に改善しなかった。
ファビピラビルは発熱と咳嗽の緩和までの潜伏期間を有意に改善した。
ファビピラビルによる副作用は軽度であり、管理可能である。
コメント
COVID-19に対するファビピラビル(アビガン®️)の効果を検証した試験。
対照薬としてUmifenovir(本邦未承認)が設定されていますが、その理由はアブストラクトからだけでは不明。
さて、試験結果によれば、治療開始7日目の臨床的回復率に両群間で差はありませんでした。ただし、これはプラセボ対象の臨床試験ではないため、本当に効果がないのか、効果がないのかは不明です。
もし仮にCOVID-19に対してUmifenovirが効果的であったとしても、今回の結果のみでファビピラビルの効果がUmifenovirと同等であるとも言えません。
通常、サンプルサイズの計算は、対象疾患、アウトカムを含めた試験デザイン(比較試験、非劣性試験、優越性試験、同等性試験など)、脱落率、対照群との効果差Δなどから算出します。COVID-19については、そもそもの疾患特徴に不明な点が多く、厳密な計算は不可能です。
したがって、通常は症例集積研究やコホート研究により疾患の特徴や治療候補薬を捉え、プラセボ対照の前向きランダム化比較試験(可能な限り)を実施するのがセオリーであると考えます。
つまり今回の研究デザインは、かなり欠陥があるため、そもそも効果があるのか、はたまた効果がないのかは分からないと言えます。
追試は必須であると考えます。
コメント
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