製薬メーカーからの贈り物は一般開業医の処方傾向に影響しますか?(フランス人口ベース後向き研究; BMJ 2019)

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Association Between Gifts From Pharmaceutical Companies to French General Practitioners and Their Drug Prescribing Patterns in 2016: Retrospective Study Using the French Transparency in Healthcare and National Health Data System Databases

Bruno Goupil et al.

BMJ. 2019

PMID: 31690553

【目的】

製薬会社からフランスの一般開業医(GP)への贈り物と、その薬剤処方パターンとの関連を評価する。

【試験設計】

フランスにおける2つのデータベース(フランス国民健康保険システムが管理する国民健康データシステム、およびヘルスケアの透明性)のデータを使用した遡及的研究。

【試験設定】

プライマリケア、フランス。

【試験参加者】

2016年に民間部門のみで働き、少なくとも5人の登録患者がいた41,257人のGP。

GPは、医薬品、医療機器、およびヘルスケアの透明性データベースのその他の健康関連企業から報告された贈答品の金銭的価値に応じて、6つのグループに分けられた。

【主なアウトカムの測定値】

主なアウトカムの測定値は、訪問ごとに(診療所または自宅で)薬の処方についてフランス国民健康保険によって払い戻される金額と、業績に関連する経済的インセンティブを計算するために国民健康保険が使用する11の薬処方効率指標を用いた。

医師と患者の特性が調整変数として使用された。 統計分析の有意閾値は0.001とした。

【結果】

・訪問毎の医薬品処方に対する国民健康保険からの払い戻し額は、2016年のヘルスケアの透明性データベースでギフトを受け取っていないGPグループで低かった。

・2013年の発売以来、ギフトを受け取っていないGPグループでは、2016年に1,000ユーロ以上、少なくとも1つのギフトを受け取っているGPグループと比較して、国民健康保険からの払戻額は優位に低かった(-5.33ユーロ、99.9%信頼区間 -6.99〜 -3.66ユーロ、P <0.001)。

・ギフトなしのGPグループでは、2013年から2016年の間に少なくとも1つの贈り物があるGPと比べて、抗生物質の後発品(1,000ユーロ以上のグループと比較して2.17%、1.47%〜2.88%)、降圧薬の後発品(1,000ユーロ以上のグループと比較して4.24%、3.72%〜4.77%)、およびスタチンの後発品(1,000ユーロ以上のグループと比較して12.14%、11.03%〜13.26%)の処方率が高かった(P <0.001)。

・ギフトなしのGPグループでは、ギフトを受け取っているGPグループ(240〜999ユーロの贈与あり)と比較して、12週間以上のベンゾジアゼピン処方がより少なかった。

★ -0.68%、-1.13%〜 -0.23%

—-

・血管拡張薬の処方についても、2016年に240ユーロ以上の贈与があるGPグループと比較して、ギフトなしのGPグループの方が少なかった。

★ -0.15%、-0.28%〜 -0.03%

—-

・すべてのアンギオテンシン(ACE)阻害薬およびARB処方と比較した場合、2016年に1,000ユーロ以上のギフトのあるGPグループと比較して、ギフトのないGPグループでは、ACE阻害薬の処方率が高かった。

★ 1.67%、0.62%〜2.71%、P <0.001

—-

・一方、アスピリンと抗うつ薬の後発品、およびプロトンポンプ阻害薬の後発品処方に関して、差は有意ではなかった。

【結論】

調査結果では、製薬会社から贈り物を受け取っていないフランスの一般開業医は、贈り物を受け取った一般開業医よりも優れた薬剤処方効率指標と低コストの薬剤処方を持っていることを示唆している。本観察研究は残留交絡の影響を受けやすく、したがって因果関係を結論付けることはできない。


【コメント】

アブストのみ。

人口ベースの後向きコホート研究。あくまでも仮説生成だが、やはり利益相反の影響はありそう。

フランスの研究結果ではあるが、他国で実施された過去の報告と矛盾しない点は強調しておきたいところ。

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