Does Order of Application of Emollient and Topical Corticosteroids Make a Difference in the Severity of Atopic Eczema in Children?
Ng SY, et al.
Pediatr Dermatol. 2016 Mar-Apr.
PMID: 26856694
【背景】
アトピー性湿疹(Atopic eczema, AE)は、子供の一般的な慢性炎症性皮膚疾患であり、皮膚軟化剤および局所コルチコステロイド(topical corticosteroids, TCSs)が一般的な治療として処方される。
小児AEにおける皮膚保湿剤およびTCSの正しい適用順序に関する公開されたガイダンスはない。
【目的】
本研究の目的は、皮膚軟化剤とTCSの適用順序が小児AEの重症度に違いをもたらすかどうかを判断することである。
【方法】
中等度から重度のAEを患う生後4ヶ月から5歳までの患者46人を2つのグループにランダム化した。
グループA:まず保湿剤を適用し、その15分後にTCSを適用した。
グループB:TCS適用15分後に保湿剤を適用
両グループともに、薬剤を1日2回、2週間使用した。
【結果】
・湿疹面積と重症度指数(the Eczema Area and Severity Index, EASI)スコア、影響を受ける体表面積(body surface area, BSA)の割合、そして痒みスコアにおいて、グループAとBの間に統計的に有意な差は認められなかった(p> 0.05)。
・グループAでは、ベースラインから1週目および2週目まで、薬剤使用により、EASIスコア、影響を受けるBSAの割合、および痒みスコアの統計的に有意な改善を示した。
・グループBでは、ベースラインから1週目までのEASIスコアとベースラインから2週目までの痒みスコアでのみ統計的に有意な改善を示した。
・グループ間で有害事象に差はありませんでした。
【結論】
本研究では、子供のAE治療において皮膚保湿剤とTCSの適用の順序は重要ではなく、親は好みの順序で外用薬を適用できることを示唆している。
【コメント】
アブストのみ。
やや小規模かつ短期的な研究の結果ではあるが、非常に有益な研究であると考えられる。
本研究結果によれば、保湿剤とステロイド外用薬どちらを先に使っても皮膚症状や掻痒緩和に差はないとのこと。
少し意外だったのは、外用薬を重ねて塗る際に15分間隔を空けている点。試験デザインとして必要だったのかなと推測しましたが、どうなのでしょうか。
さて、個人的には群間差とベースラインからの推移をみたときに、保湿剤を先に塗った方がより効果がありそうだなと感じました。
また長期的な検討はできていないことから、ステロイド外用薬による副作用リスクを少しでも下げられるのであれば、不要な部位には塗らない方が賢明であると考えられます。
したがって、やはり基本は保湿剤を満遍なく塗り、ステロイド外用薬はポイント塗布した方が良いのではないか、というところに個人的には落ち着きました。
まぁ、どちらでも良いと言われれば、どちらでも良さそうですよね。アドヒアランス維持する方が重要そうです。
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