Maruyama T et al.
J Clin Endocrinol Metab. 2008 Jun;93(6):2115-21.
doi: 10.1210/jc.2007-2267. Epub 2008 Apr 8.
ClinicalTrials.gov NCT00232375.
PMID: 18397986
【目的】
ゆっくりと進行するインスリン依存性(1型)糖尿病(slowly progressive insulin-dependent diabetes, SPIDDM)または潜在的な自己免疫性糖尿病患者のベータ細胞機能を逆転または維持するには、スルホニル尿素(sulfonylurea, SU)治療よりもインスリン療法の方が好ましいという仮説を検証した。
【方法】
本多施設ランダム化非盲検臨床試験では、グルタミン酸デカルボキシラーゼ自己抗体(glutamic acid decarboxylase autoantibodies, GADAb)について4,089人のインスリン非依存性糖尿病患者をスクリーニングした。
糖尿病の期間が5年以下のGADAb陽性かつインスリンを必要としない60人の糖尿病患者は、SUグループ(n = 30)またはインスリングループ(n = 30)に割り当てられた。
毎年の経口ブドウ糖負荷試験に対する血清Cペプチド反応は、平均57ヶ月間追跡された。
主要エンドポイントは、4 ng/ml(1.32 nmol/L)未満の経口耐糖能試験(SigmaC-peptide)中の血清C-ペプチド値の合計によって定義されるインスリン依存状態とした。
【結果】
・インスリン依存状態への進行率は、インスリン群(3例/30例, 10%)の方が、SU群(13例/30例, 43%; P =0.003、ログランク)よりも低かった。
・縦断的分析では、SigmaCペプチド値がSU群よりもインスリン群でよりよく保存されていることを示した。
・重回帰分析により、インスリン治療、保存されたCペプチド応答、およびエントリー時の低GADAb力価は、インスリン依存状態への進行を防ぐ独立した要因であることが示された。
・サブグループ分析により、インスリン介入は、高GADAb力価[10 U/mL(180世界保健機関U/ml)以上]およびベータ細胞機能[SigmaC-peptide 10 ng/ml(3.31 nmol/L)以上]の患者においてより効果的であった。
・研究中に重度の低血糖エピソードは発生しなかった。
【結論】
ベータ細胞機能を維持するためのインスリン介入は、成人のSPIDDMまたは潜在性自己免疫性糖尿病の患者にとって効果的かつ安全である。
【コメント】
アブストのみ。
SPIDDMあるいは潜在性自己免疫性糖尿病において、SU薬よりもインスリンを使用した方が良さそうとのこと。またインスリン導入の目安として、GADAbあるいはβ細胞機能が高いほど効果的である可能性が示唆された。
本試験はオープンラベルではあるが、アウトカムが客観的指標であるため問題ないと考えられる。
SPIDDMって概念を知りませんでした。続報についても読んでみようと思います。
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