Kim NH et al.
BMJ. 2019 Sep 27;366:l5125.
doi: 10.1136/bmj.l5125.
PMID: 31562117
【目的】
スタチン治療のアドオンとしてのフェノフィブラートが、現実世界の環境において成人メタボリックシンドロームの持続的な心血管リスクを低下させるかどうかを調査する。
【試験設計】
傾向マッチコホート研究
【試験設定】
韓国の人口ベースコホート
【試験参加者】
スタチン治療を受けているメタボリックシンドローム(40歳以上)29,771人の成人が組み入れられた。
併用治療を受けた2,156人の参加者(スタチンとフェノフィブラート)は、傾向スコアに基づいて1:5の比率で重み付けされ、8,549人の参加者はスタチンのみで治療を受けた。
【主なアウトカムと測定】
主要評価項目は、偶発的な冠動脈性心疾患、虚血性脳卒中、および心血管の原因による死亡を含む複合心血管イベントだった。
【結果】
・複合心血管イベントの1,000人年あたりの発生率は、併用治療群で17.7(95%信頼区間14.4〜21.8)、スタチン単独治療群で22.0(20.1〜24.1)だった。
・複合心血管イベントのリスクは、スタチン単独治療群と比較して併用治療群で有意に減少した。
★調整ハザード比 =0.74, 95%信頼区間0.58〜0.93; P = 0.01)
—-
・有意性は、On-treatment 分析で維持されていた。
★ハザード比 =0.63, 95%信頼区間0.44〜0.92; P =0.02
—-
・冠動脈性心疾患、虚血性脳卒中、および心血管死のリスクは、スタチン単独治療群より併用治療群の方が低かったが、有意ではなかった。
・試験参加者の特徴は、併用治療による複合心血管イベントの低リスクと関連しているようには見えなかった。
【結論】
メタボリックシンドロームの成人を対象とした本傾向加重コホート研究では、主要な心血管イベントのリスクは、スタチン治療単独の場合よりも、スタチン治療のアドオンとしてフェノフィブラート併用の方が有意に低かった。
【コメント】
アブストのみ。
スタチン単独治療よりもフェノフィブラート併用の方が複合の心血管イベントが少なかった。ただし、ここのアウトカムでは有意な差が得られなかったとのこと。本文を見ると,どれも減少傾向ではあるが効果推定値の幅が大きい。
また層別解析の結果から、高中性脂肪かつ低HDLコレステロールの場合に、併用療法の効果が最大化する可能性が示唆されている。
したがってメタボリックシンドロームの中でも、即併用療法にするのではなく、個別化した方がコスパが良さそう。その基準として検査値を活かすのは理にかなっていそうですね。あくまで仮説生成ではありますが。
あと個人的にはPSマッチングでの検討アウトカムに、死亡を入れない方が良いと思う。なぜならランダム化と異なり、PSマッチングでは交絡因子を調整しきれないためである。
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