進行性の収縮期心不全におけるメトグルコ®️の効果はどのくらいですか?(単施設前向きコホート研究; J Card Fail. 2010)

この記事は約3分で読めます。
ランキングに参加しています!応援してもよいよという方はポチってください!

Metformin therapy and outcomes in patients with advanced systolic heart failure and diabetes. Shah DD, et al. J Card Fail. 2010. PMID: 20206893

【背景】

心不全(HF)患者の25〜44%が糖尿病(DM)を患っているが、DM患者の最適な治療法は(少なくとも2010年より前では)不明である。 本研究では、DMを有する進行期の収縮期HF患者におけるメトホルミン療法とアウトカムとの関連を検討した。

【方法と結果】

1994年から2008年の間に、DMおよび進行性の収縮期HF(n = 401)の患者を単一の大学HFセンターで追跡調査した。 コホートをメトホルミン療法の有無に基づいて2つのグループに分けた。コホートの平均年齢は56±11歳、左室駆出率(LVEF)は24±7%であり、42%がNew York Heart Association(NYHA)IIIおよび45%がNYHA IVであった。 コホートのうち25%(n = 99)はメトホルミン療法で治療された。メトホルミン群と対照群では、年齢、性別、ベースラインLVEF、病歴、およびベースラインHbA1cが同様であった。 メトホルミン治療群では、治療しなかった群と比べ、BMIがより高く、クレアチニンは低く、そしてインスリン使用頻度がより少なかった。 メトホルミン治療群と非メトホルミン治療群の1年生存率は、それぞれ91%と76%だった(RR =0.37、CI 0.18〜0.76、P = 0.007)。 人口統計学、心機能、腎機能、およびHF投薬のための多変量調整後、メトホルミン療法は生存率改善のための有意でない傾向と関連していた。

【結論】

DMおよび進行期の収縮期HFを注意深くモニターしている患者では、メトホルミン療法は安全であるように思われる。 メトホルミンが心不全アウトカムを改善できるかどうかを決定するために前向き研究が必要である。

【コメント】

アブストのみ。 乳酸アシドーシスが懸念されるメトホルミン。 そのためか生理学・薬理学的に乳酸が増加する状態(ショック、心不全、心筋梗塞、肺塞栓等心血管系、肺機能に高度の障害のある患者及びその他の低酸素血症を伴いやすい状態、脱水、重症感染症、手術前後、重篤な外傷のある患者など)でのメトホルミン使用は禁忌とされている。 しかし実際の現場では、心不全や心筋梗塞の既往あるいは現病歴がある患者へも、血糖コントロールによる2次予防効果を期待して投与されることが往々にしてある。 さて、本試験において単施設の小規模な研究ではあるが、心不全増悪リスクはなさそうである(リスク低下もリスク増加もなさそう)。 おそらくではあるが、適応上の禁忌の設定背景として急性増悪期を想定していると考えられる。またメトグルコ®️承認前に、ブホルミンやフェンホルミンによる乳酸アシドーシスのリスク増加、これに伴う死亡リスク増加が報告されていたため、注意喚起として記載せざるを得なかったのではなかろうか(完全に推測ですが)。 続報に期待。]]>

コメント

タイトルとURLをコピーしました