Association of Vasopressin Plus Catecholamine Vasopressors vs Catecholamines Alone With Atrial Fibrillation in Patients With Distributive Shock: A Systematic Review and Meta-analysis. McIntyre WF et al. JAMA. 2018 May 8;319(18):1889-1900. doi: 10.1001/jama.2018.4528. PMID: 29801010
研究の重要性
血液分布異常性ショック(過度の血管拡張、最頻は重度の感染症)を有す患者におけるカテコールアミン型昇圧剤使用に対し、バソプレシンは代替となり得る。非カテコールアミン(noncatecholamine)昇圧薬による血圧のサポートは、アドレナリン作動性受容体の刺激を減少させ、心筋酸素需要を減少させる可能性がある。心房細動(疾患の存在自体)はカテコールアミンと共通点を有しており、死亡および滞在期間の延長(length of stay: LOS)等の有害事象の発生と関連している。試験の目的
カテコールアミン昇圧薬単独と比較し、バソプレシン+カテコールアミン昇圧薬による治療が、有害事象のリスク低下と関連しているかどうか検討する。 データソース MEDLINE、EMBASE、およびCENTRALについて、各データベース運用開始〜2018年2月まで検索した。また進行中の試行を特定するために、専門家に連絡を取り、メタレジストリーを検索した。研究の選択
2人の査読者は、血液分布異常性ショックを有する患者におけるバソプレシン+カテコールアミン昇圧薬併用と、カテコールアミン単独使用とを比較したランダム化比較試験を同定した。データ抽出および合成
2人の査読者が独立してデータを抽出した。ランダム効果モデル(random-effects model )を用いてデータを結合した。主要アウトカムと測定
主要アウトカムは心房細動であった。その他のアウトカムには、死亡、腎代替療法(renal replacement therapy: RRT; 血液透析または腹膜透析、生体腎移植、献腎移植)の必要性、心筋傷害、心室性不整脈、脳卒中、集中治療室および病院におけるLOSが含まれた。 関連性の測定値は、臨床アウトカムのリスク比(risk ratios: RRs)およびLOSの平均差として報告された。結果
23のランダム化比較試験が同定された(3,088例、平均年齢61.1歳[14.2]、女性45.3%)。 ハイ・クオリティ・エビデンスはバソプレシン投与に伴う心房細動リスクの低下を支持した。 RR =0.77(95%CI 0.67〜0.88) リスク差(risk difference: RD) =-0.06 (95%CI -0.13〜0.01) 死亡率については次の通り; 全RR推定値 =0.89(95%CI 0.82〜0.97) RD =-0.04(95%CI -0.07〜0.00) しかしバイアスリスクが低い試験に限定した場合、RR推定値は0.96(95%CI 0.84〜1.11)であった。 腎代替療法(RRT) 全RR推定値 =0.74(95%CI 0.51〜1.08) RD =-0.07(95%CI -0.12〜-0.01) しかしバイアスリスクが低い試験に限定した分析では、RRは0.70(95%CI 0.53〜0.92, P相互作用= 0.77)であった。 他のアウトカムに対するプールされたリスクにおいて、有意差はなかった。結論と関連性
本系統的レビューおよびメタアナリシスでは、カテコールアミン単独療法と比較し、カテコールアミン昇圧剤にバソプレシンを併用することで、心房細動リスクが低下した。二次アウトカムの所見は様々であった。コメント
アブストのみ。 血液分布異常性ショック(過度の血管拡張、最頻は重度の感染症)を有す患者において、カテコールアミン昇圧薬にバソプレシンを併用することで、カテコールアミン昇圧薬単独使用に比べ、心房細動リスクを低下させることができた。また腎代替療法導入リスクについても低減する可能性が示唆された。一方、死亡については差が認められなかった。 カテコールアミン製剤として使用されたものは何か気になる。 バソプレシン製剤としては「パトレシン®️注射液20」が上市されている。ショック時にノルアドレナリンと併用するパターンが多いのでしょうか?薬局勤務なので、ここの領域は把握しづらい。-Evidence never tells you what to do-
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