重度の精神疾患患者を対象とした包括的心血管リスク低減介入(行動カウンセリング、ケア調整、ケアマネジメント)の効果はどのくらいですか?(RCT; JAMA Netw Open. 2020)

この記事は約4分で読めます。
ランキングに参加しています!応援してもよいよという方はポチってください!

Effect of a Comprehensive Cardiovascular Risk Reduction Intervention in Persons With Serious Mental Illness: A Randomized Clinical Trial

Gail L Daumit et al.

JAMA Netw Open. 2020 Jun 1;3(6):e207247. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2020.7247.

PMID: 32530472

PMCID: PMC7293000

DOI: 10.1001/jamanetworkopen.2020.7247

Trial registration: ClinicalTrials.gov Identifier: NCT02127671.

試験の重要性

重度の精神疾患を有する患者では、心血管疾患による死亡率が全人口の2倍以上である。有意義な心血管リスクの低減には、精神症状や認知機能障害を有することが多いこの集団を対象とした取り組みが必要である。

目的

重度の精神疾患を有する成人の心血管リスクの全体的な低減のために、行動カウンセリング、ケア調整、ケアマネジメントを組み込んだ18ヵ月間の多面的介入の有効性を明らかにすること。

試験デザイン、設定、参加者

このランダム化臨床試験は、2013年12月から2018年11月まで、メリーランド州の4つの地域精神保健外来プログラムで実施された。

本試験では、メンタルヘルスプログラムに通院している心血管疾患の危険因子(高血圧、糖尿病、脂質異常症、現在の喫煙、および/または過体重または肥満)を少なくとも1つ有する成人を募集した。

スクリーニングされた参加者398例のうち、269例が介入群(132例)または対照群(137例)にランダム割り付けされた。

データ収集スタッフは、グループの割り当てを盲検化した。データは治療意図の原則に基づき、2018年11月から2019年3月までの間にデータ分析を行った。

介入

ヘルスコーチと看護師が、個々に合わせた心血管疾患リスク低減行動カウンセリングを提供し、医師と協力して適切なリスク因子管理を実施し、メンタルヘルススタッフと調整して健康目標の達成を奨励した。プログラムでは身体活動のクラスを提供し、より健康的な食事の提供に関する相談を受けた。

主要アウトカムおよび測定法

主要アウトカムは、ベースラインから18ヵ月後までの10年間の心血管疾患イベントの発生確率を推定するグローバル・フラミンガム・リスク・スコア(FRS)から得られる心血管疾患リスクの変化であり、対照群と比較した介入群の変化率で表された。

結果

・ランダム化された参加者269例(平均年齢[SD] 48.8[11.9]歳、男性 128例[47.6%])のうち、統合失調症または統合感情障害が159例(59.1%)、双極性障害が67例(24.9%)、大うつ病性障害が38例(14.1%)の診断を受けていた。

・18ヵ月後の主要アウトカムであるFRSは256例(95.2%)で発生した。

・ベースラインの平均(SD)FRSは介入群で11.5%(11.5%)(中央値 8.6%、間質値範囲 3.9%~16.0%)、対照群で12.7%(12.7%)(中央値 9.1%、間質値範囲 4.0%~16.7%)であった。

・18ヵ月目の平均(SD)FRSは、介入群で9.9%(10.2%)(中央値 7.7%、直交値幅 3.1%~12.0%)、対照群で12.3%(12.0%)(中央値 9.7%、直交値幅 4.0%~15.9%)であった。対照群と比較して、介入群では18ヵ月目のFRSが12.7%(95%CI 2.5%~22.9%;P=0.02)相対的に低下した。

結論および関連性

18ヵ月間の行動カウンセリング、ケア調整、およびケアマネジメント介入は、重篤な精神疾患を有する成人の心血管疾患リスク全体を統計的に有意に減少させた。

この介入は、この高リスク集団における健康格差を大幅に減少させる手段を提供する。

コメント

重度の精神疾患患者において心血管イベントの発生リスク増加が報告されています。しかし、包括的心血管リスク低減介入(行動カウンセリング、ケア調整、ケアマネジメント)により、心血管イベントの発生が低下するか否かは不明です。

さて、本試験結果によれば、18ヵ月の包括的心血管リスク低減介入(行動カウンセリング、ケア調整、ケアマネジメント)により、対照群と比較して、グローバル・フラミンガム・リスク・スコア(FRS)の低下が認められました。FRSの絶対差は2.4%でした。

あくまでも、10年間の心血管疾患イベントの発生確率を推定するFRSに差が認められたに過ぎませんので、これらの患者集団における実際のイベント発生数がどのくらいで、かつ介入により、どのくらい減少するのか検証する必要があると考えます。

今後の報告に期待。

✅まとめ✅ 重篤な精神疾患患者における18ヵ月間の行動カウンセリング、ケア調整、およびケアマネジメント介入は、対照群と比較して、FRSから得られる心血管疾患リスクの変化が有意に減少させた

コメント

タイトルとURLをコピーしました