COVID-19に対するレムデシビルの効果はどの程度なのか?(SR&MA; Eur J Pharmacol. 2021)

composition of coronavirus vaccine on table near syringe and pills 09_感染症
Photo by Alena Shekhovtcova on Pexels.com
この記事は約6分で読めます。
ランキングに参加しています!応援してもよいよという方はポチってください!

COVID-19に対するレムデシビルの効果は一貫していない

COVID-19は世界的なパンデミックを引き起こしており、ワクチン接種による集団免疫の獲得に期待が寄せられています。またSARS-CoV-2感染後の治療薬の開発が急速に進められ、治療候補薬がいくつか報告されています。なかでもレムデシビルはCOVID-19に対する治療薬として初めて承認された抗ウイルス薬です。

COVID-19に対するレムデシビルの有効性・安全性については、試験に参加した患者の特徴により異なり、一貫した結果は得られていません。

今回は、COVID-19患者におけるレムデシビル投与の有効性・安全性を検証したメタ解析の結果をご紹介します。

研究結果から明らかになったことは?

本メタ解析にはランダム化比較試験と非ランダム化試験、各5件が組み入れられました。

レムデシビル投与は、各アウトカムの有意な改善と関連しており、また重篤な副作用(ADR)リスクは、レムデシビル群で比較対照群に比べて有意に低いことが明らかになりました。

比較対照群とのリスク比または平均時間差
28日目の臨床的改善RR=1.09、95%CI 1.04~1.15
1~14日目までの低流量酸素支持RR=2.88、95%CI 1.80~4.60
追跡期間14~28日目までの侵襲的機械換気
またはECMO要求量
RR=5.34、95%CI 2.37~12.05
臨床改善までの時間の群間差プール中央値 2.99、95%CI 2.71~3.28
ADRリスクRR = 0.75、95%CI 0.63~0.90
比較対照群に対するレムデシビルリスク比及び平均時間の群間差

臨床改善までの時間の群間差(プール中央値)は2.99(95%CI 2.71~3.28)であり、感度解析では有意性は保たれませんでした。

レムデシビル5日間投与と10日間投与の臨床効果を比較した結果、5日間投与の方が10日間投与よりも重篤なADR発生が少なく、同様の効果が得られる可能性があることが明らかになりました。

メタ解析の対象となった研究の患者背景および併用療法は研究間で一致しておらず、また感度分析の結果と一致していないため、結果の解釈に注意が必要です。

著者の結論では、充分にデザインされたRCTを実施することの重要性を強調しています。今のところ、重度COVID-19患者に対してレムデシビルの有益性は得られそうではありますが、どのような対象患者において、より有益性が高いか検討する必要があると考えます。

photo of gray cat looking up against black background

✅まとめ✅ メタ解析の結果、COVID-19に対するレムデシビル投与は有益かもしれないが、COVID-19患者に自信を持って投与できるようにするためには、充分にデザインされたRCTを実施することの重要性を強調している

根拠となった論文の抄録

背景と目的:コロナウイルス感染症2019(COVID-19)パンデミックは世界的な健康危機となっている。
COVID-19治療薬としてレムデシビルが食品医薬品局(FDA)に初めて正式に承認されたことを考慮し、COVID-19患者におけるレムデシビル投与の有効性と安全性を評価するために、本システマティックレビューおよびメタアナリシスを実施した。

方法:システマティックな文献検索は、MEDLINE、Google Scholar、Web of Science、Scopus、Science Direct、Cochrane Library、medRxiv、bioRxivで開始から2020年12月22日までに実施した。5つのランダム化比較試験(RCT)と5つの非ランダム化介入試験(NRSI)をメタ解析に組み入れた。

結果:レムデシビル投与は、28日目の臨床的改善(RR=1.09、95%CI 1.04~1.15)、1~14日目までの低流量酸素支持(RR=2.88、95%CI 1.80~4.60)、追跡期間14~28日目までの侵襲的機械換気または体外膜酸素(ECMO)要求量(RR=5.34、95%CI 2.37~12.05)の有意な改善と関連していることが明らかになった。
重篤な副作用(ADR)リスクは、レムデシビル群で比較対照群に比べて有意に低かった(RR = 0.75、95%CI 0.63~0.90)。
臨床改善までの時間の群間差(プール中央値)は2.99(95%CI 2.71~3.28)であり、感度解析では有意性は保たれなかった。5日間投与と10日間投与のレムデシビルの臨床効果を比較した結果、5日間投与の方が10日間投与よりも重篤なADRの発生が少なく、同様の効果が得られる可能性があることが明らかになった。

結論:今回のメタアナリシスは、COVID-19患者におけるレムデシビル使用に関する科学的根拠の最新の評価を提供した。より正確な結果を示すためには、充分に設計されたRCTを実施する必要がある。

引用文献

Remdesivir for treatment of COVID-19; an updated systematic review and meta-analysis
Afra Rezagholizadeh et al. PMID: 33549577 PMCID: PMC7859696 DOI: 10.1016/j.ejphar.2021.173926
Eur J Pharmacol. 2021 Feb 4;897:173926. doi: 10.1016/j.ejphar.2021.173926. Online ahead of print.
ー続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33549577/

関連記事

【重度COVID-19患者に対するレムデシビルの推奨度はどのくらいですか?】

【COVID-19 – SIMPLE trial: レムデシビルが死亡率を低下させるという主張を専門家が批判】

【重症COVID-19患者におけるレムデシビルの効果はどのくらいですか?】

コメント

タイトルとURLをコピーしました