変形性膝関節症の症状に対するdiacereinの効果はセレコキシブに劣っていますか?(非劣性 DB-RCT; DISSCO; Rheumatology (Oxford). 2020)

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An international, multicentre, double-blind, randomized study (DISSCO): effect of diacerein vs celecoxib on symptoms in knee osteoarthritis

Jean-Pierre Pelletier et al.

Rheumatology (Oxford). 2020 Jun 10;keaa072. doi: 10.1093/rheumatology/keaa072. Online ahead of print.

PMID: 32521015

DOI: 10.1093/rheumatology/keaa072

Trial registration: A multicentre study on the effect of DIacerein on Structure and Symptoms vs Celecoxib in Osteoarthritis is a National Institutes of Health (NCT02688400) and European Clinical Trial Database (2015-002933-23) registered phase III (Canada) or IV (Europe) study.

Keywords: SYSADOA; celecoxib; diacerein; non-inferiority trial; osteoarthritis.

目的

本研究の目的は、症候性膝関節症患者の疼痛軽減効果について、diacerein(ジアセリン)がセレコキシブと同等の効果を有するかどうかを検討することであった。

方法

このランダム化二重盲検多施設非劣性試験では、Kellgren-Lawrenceグレード2〜3、疼痛スコア≧4(10cm VAS)の患者を対象に、ジアセリンとセレコキシブの治療効果を評価した。

ジアセリン50mg(n=187)を1日1回 1ヵ月間、その後は1日2回 6ヵ月間の治療と、セレコキシブ200mg(n=193)を1日1回 6ヵ月間の治療にランダム割り付けした。

主要アウトカムは6ヵ月間のWOMAC疼痛スコア(0~50cm)の変化、副次的アウトカムはWOMACサブスコア、VAS疼痛スコア、OMERACT-OARSI反応率とした。

結果

・プロトコールごとの集団(per protocol population)において、WOMAC疼痛スコアのベースラインからの調整平均変化は、ジアセリン(n = 140)で-11.1(0.9)、セレコキシブ(n = 148)で-11.8(0.9)であった。

・グループ間差は0.7(95%CI -1.8〜3.2;P=0.597)であり、非劣性マージンを満たしていた。

・意図的治療集団(intention to treat)の支持分析でも同様の結果が得られた。

・その他のアウトカムでは、治療群間に有意差は認められなかった。

・治療に関連した有害事象の発生率は低く、群間でバランスが取れていたが、下痢の発生率はジアセリンの方が高かった(10.2% vs. 3.7%)。下痢は1例を除くすべての症例で軽度から中等度と考えられ、完全に消失した。

結論

ジアセリンは、膝OAの疼痛の軽減と身体機能の改善において、セレコキシブに劣らなかった。また、ジアセリンは良好な安全性プロファイルを示した。

コメント

免疫調節と抗炎症作用を有するdiacerein(ジアセリン)は、アントラキノンの一種であり、インターロイキン-1βを阻害することで、その効果を発揮します。すでにアジア諸国や欧州では製造販売承認が行われ、使用されていました。しかし2013 年、欧州では販売が一時停止されました。これは、EMAのファーマコビジランス・リスク評価委員会(PRAC)のレビューにより、ジアセリンのベネフィットが、特に重度の下痢や肝臓への潜在的な有害な影響のリスクを上回るものではないと結論付けたためのようです(https://www.ema.europa.eu/en/documents/press-release/prac-recommends-suspension-diacerein-containing-medicines_en.pdf)。

その後、ジアセリンを含有する医薬品の便益とリスクのバランスは、製品情報と条件の変更に合意したことを条件に、変形性関節症の対症療法においても引き続き良好であると判断され、欧州での販売は再開されたものの、重度の下痢リスクがあるため、65歳以上の患者にはジアセリンは推奨されていません。また、患者は通常の半分の用量(例えば、100mgではなく1日50mg)で治療を開始し、下痢が発生した場合はジアセリンの服用を中止することが推奨されています。さらに2014年には、ジアセリンを含む医薬品に対して、「肝臓疾患のある患者や肝臓疾患の既往歴のある患者には使用してはならず、医師は肝臓疾患の初期徴候がないかどうか患者を監視しなければならない。」と制限が強化されました(https://www.ema.europa.eu/en/documents/referral/diacerein-article-31-referral-restrictions-use-diacerein-containing-medicines_en.pdf)。

さて、本試験結果によれば、ジアセリン(維持用量 50mg×2回/日)使用は、セレコキシブ(200mg×1回/日)と比較して、6ヵ月間のWOMAC疼痛スコア(0~50cm)の変化で非劣性を示しました。

一方、下痢については、やはり発生率が高かったとのこと。導入期間を設けたことで、重度の下痢や肝疾患のリスク増加は認められなかったようですが、実臨床で行えるかは少し疑問です。また組み入れられた患者は中年層であると推測できますが、実際の年齢についてはアブストラクトからは不明です。65歳以上の高齢者においては使用しない方が良いことには変わりないと考えます。

✅まとめ✅ 変形性膝関節症の症状に対するジアセリン使用は、セレコキシブと比較して、6ヵ月間のWOMAC疼痛スコア(0~50cm)の変化が非劣性だった

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