入浴介護に関連した体調不良・事故発生と入浴前血圧,体温との関連(症例対照研究 ; 日本温泉気候物理医学会雑誌 2016)

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Relationship of Bathing Care-related Illness or Incident with Blood Pressure and Body Temperature: A Case-control Study Hayasaka S et al. 日本温泉気候物理医学会雑誌 2016

Online ISSN : 1884-3697 Print ISSN : 0029-0343 ISSN-L : 0029-0343

【試験背景】

入浴サービスは、高齢者向けの長期介護保険の下で利用できる。 ただし、具体的な基準とガイドラインがないため、介護従事者は入浴の安全性を評価することが困難である。 現在、要介護者の入浴前の健康状態は、主に血圧と体温の測定によって評価されている。

【目的】

研究の目的は、血圧と体温の測定によって評価された入浴前の健康状態と、入浴ケアに関連する病気やインシデントとの関係を特定すること。

【方法】

1.設計:

ケースコントロール研究(前向きレジストリ研究)。

2.被験者:

在宅入浴サポートを提供している長期ケアの登録サービスプロバイダーすべて(合計2,330人)。

3.方法:

ケースは、入浴ケア関連の病気またはイベントを経験した地域在住の居住者として定義された。 コントロールとして、収集されたデータから各サービスプロバイダーの2人の介護者がランダムに抽出された。 調査期間は2012年6月から2013年5月までの1年間だった。 障害のある高齢者の年齢、性別、日常生活における自立度(就寝時の程度)、 長期ケアが必要、変更されたランキンスケールスコア、覚醒度、認知症患者の日常生活における自立度、入浴前の血圧、入浴前の体温を因子として、単変量および多変量ロジスティック回帰分析を実行し、病気およびすべてのインシデントと、体温の上昇と血圧の上昇または低下を除くインシデントを客観的変数として、その他の要因を説明変数として使用した。 オッズ比(OR)と95%信頼区間(95%CI)が計算された。

【結果】

・合計596のケースと1,511のコントロールが分析された。 ・単純な比較分析では、入浴前のケース群では、コントロール群よりも多くの要介護者の体温が上昇していることが明らかになった。 ・体温と血圧の変化を除く病気とインシデントの多変量解析では、入浴前の収縮期血圧が160〜179 mmHg(OR 3.63; 95%CI 1.39〜9.50)、拡張期血圧が100〜109 mmHg(OR 14.71; 95%CI 1.31〜165.77)、体温は37.5〜37.9°C(OR 16.47; 95%CI 3.30〜82.40)、あるいは≥38.0°C(OR 6.57; 95%CI 1.40〜30.81)において客観的変数が有意な関係を示した。

【結論】

入浴前の高血圧(≥160/ 100 mmHg)および上昇した体温(≥37.5°C)は、入浴ケア関連の病気や事故の危険因子である可能性がある。

【コメント】

アブストのみ。半年くらい寝かせてしまった積読論文。 日本における症例対照研究。施設関係でよく話題にあがる入浴前の血圧と体温、本研究においては、高血圧(≥160/ 100 mmHg)および体温上昇(≥37.5°C)により、病気や事故のリスク増加の可能性が示唆された。 あくまで仮説生成的な結果ですね。入浴可否の目安としては良いかもしれませんが、ベースからの変化量を考慮していないため、結論づけられません。 調整因子として並存疾患についても実施した方がより良かったのではないかなと感じました。特に目眩とか。 続報に期待。]]>

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