3剤併用療法と比較して2剤併用療法は劣っていなかった。そもそも薬物動態的にリファンピシンとクラリスロマイシンの併用はCYP3A4との相互作用の観点から好ましくない。薬物動態と実臨床がリンクする結果であった。
また毎日の治療と間欠治療を比較しても有意な差は認められなかった。
薬剤の副作用で毎日の継続服用が実施できない場合の選択肢としては、2剤併用療法あるいは週に3回の間欠的服用でも問題なさそうである。
論文1:Efficacy of clarithromycin and ethambutol for Mycobacterium avium complex pulmonary disease. A preliminary study.
Miwa S et al.
Ann Am Thorac Soc. 2014 Jan;11(1):23-9.
doi: 10.1513/AnnalsATS.201308-266OC.
Clinical trial registered with http://www.umin.ac.jp/english/ (UMIN000002819)
PMID: 24298907
【研究開始の根拠】
Mycobacterium avium complex(MAC)肺疾患の患者には、クラリスロマイシン(クラリス®️/クラリシッド®️)、エタンブトール(エブトール®️)、およびリファンピシン(リファジン®️)の組み合わせが頻繁に投与される。しかし、リファンピシンはクラリスロマイシンの血清レベルを低下させることが知られている。クラリスロマイシン血清レベルの低下がマイコバクテリウム・アビウム複合肺疾患治療レジメンの臨床結果に影響を及ぼすかどうかは不明のままである。
【目的】
MAC肺疾患の治療について、3剤レジメン(クラリスロマイシン、エタンブトール、およびリファンピシン)と2剤レジメン(クラリスロマイシンおよびエタンブトール)を比較する。
【方法】
予備的な非盲検試験では、新たに診断されたHIV感染のない未治療の肺MAC患者を12ヶ月間、3剤または2剤レジメンにランダム割付された。主要エンドポイントは、治療の12ヶ月後にput培養物を陰性に変換することとした。患者データは、治療意図法(Intention-To-Treat, ITT)を使用して分析された。
【測定と主な結果】
・適格患者119人のうち、59人が3剤レジメンに、60人が2剤レジメンに割り当てられた。
・Put培養転換率は、3剤レジメンで40.6%、2剤レジメンで55.0%だった。
★絶対差 =-14.4%[95%信頼区間 -32.1〜3.4]
—
・治療の中止につながる有害事象の発生率は、3剤および2剤のレジメンでそれぞれ37.2および26.6%だった。
【結論】
本予備研究では、クラリスロマイシンとエタンブトールによる治療が、マイコバクテリウム・アビウム複合肺疾患に対するクラリスロマイシン、エタンブトール、およびリファンピシンによる治療に劣らないことを示唆している。今回の調査結果は、2剤治療レジメンの長期臨床結果を比較する大規模な臨床試験を正当化するものである。
Intermittent antibiotic therapy for nodular bronchiectatic Mycobacterium avium complex lung disease.
Jeong BH et al.
Am J Respir Crit Care Med. 2015 Jan 1;191(1):96-103.
doi: 10.1164/rccm.201408-1545OC.
Clinical trial registered with www.clinicaltrials.gov (NCT 00970801).
PMID: 25393520
【根拠】
非空洞性結節性気管支拡張性Mycobacterium avium complex(MAC)肺疾患の初期治療には、断続的で週に3回の治療が推奨されるが、裏付けとなるデータは限られている。
【目的】
結節性気管支拡張性MAC肺疾患に対する毎日の治療と比較した間欠的治療の臨床的有効性を評価する。
【方法】
未治療の非空洞性結節性気管支拡張性MAC肺疾患患者217人を対象とした後向きコホート研究。すべての患者は、クラリスロマイシンまたはアジスロマイシン、リファンピン、エタンブトールを含む毎日の治療(n = 99)または間欠的治療(n = 118)を受けた。
【測定と主な結果】
・初期抗生物質療法の変更は、間欠療法群よりも毎日の療法群でより頻繁に発生した(46 vs. 21%; P <0.001)。
・特に、エタンブトールは間欠療法群よりも毎日の療法群で中止される頻度が高かった(24 vs. 1%; P≤0.001)。ただし、症状の改善、X線写真の改善、およびculture培養の変換率は、2つのグループ間で差はなかった。
★毎日療法 vs. 間欠療法
症状の改善:75 vs. 82%、P =0.181
X線写真の改善:68 vs. 73%、P =0.402
Culture培養の変換率:76 vs. 67%、P =0.154
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・さらにadjusted培養変換の調整された割合は、毎日治療(71.3%; 95%信頼区間59.1〜81.1%)と完結治療群(73.6%; 95%信頼区間 62.9〜82.2%)で同様であった(P =0.785)。
【結論】
これらの結果は、マクロライド、リファンピン、エタンブトールによる週に3回の断続的な治療が、非空洞性結節性気管支拡張性MAC肺疾患の患者に対する妥当な初期治療レジメンであることを示唆している。
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