胃がん罹患および胃がんによる死亡に対して、ピロリ菌の除菌・ビタミン摂取・ニンニク摂取は、どれが効果的ですか?(factorial-RCT; BMJ 2019)
Effects of Helicobacter pylori treatment and vitamin and garlic supplementation on gastric cancer incidence and mortality: follow-up of a randomized intervention trial.
Randomized controlled trial
Li WQ, et al.
BMJ. 2019.
PMID: 31511230
【目的】
胃癌の予防におけるピロリ菌治療、ビタミン補給、ニンニク補給の効果を評価する。
【試験デザイン】
ブラインディングランダム化プラセボ対照試験。
【試験設定】
中国 山東省 臨朐県
【参加者】
胃癌の高リスク地域に居住する3,365人。
ピロリ菌に対する抗体陽性の2,258人の参加者は、2×2×2要因計画としてピロリ菌治療、ビタミン補給、ニンニク補給、またはのプラセボにランダムに割り当てられ、1,107人のピロリ菌血清陰性の参加者は2×2要因計画として、ビタミン補給、ニンニク補給、またはプラセボにランダムに割り当てられた。
【介入】
アモキシシリンとオメプラゾールによる2週間のピロリ菌治療。 ビタミン(C、E、およびセレン)およびニンニク(抽出物および油)を7.3年間(1995〜2003)補給。
【主要評価項目の測定】
主要なアウトカムは、2017年までの積極的な臨床フォローアップによって胃内視鏡検査で特定された胃癌の累積発生率、および死亡証明書と病院記録から確認された胃癌による死亡だった。
二次アウトカムは、がんや心血管疾患を含む他の特有の原因による死亡との関連だった。
【結果】
・1995年から2017年にかけて、胃癌の151症例と胃癌による死亡94例が確認された。
・胃癌の発生率に対するピロリ菌治療の保護効果は、介入後22年間持続した。
★オッズ比 =0.48, 95%信頼区間0.32〜0.71
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・胃癌の発生率は、ビタミンの補給で大幅に減少したが、ニンニク補給では減少しなかった。
★ビタミン補給:OR =0.64, 0.46〜0.91
★ニンニク補給:OR =0.81, 0.57〜1.13
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・3つの介入すべてで、胃がん死亡率の有意な低下が示された。
★ H. pylori治療の完全調整ハザード比 faHR =0.62(95%信頼区間 0.39〜0.99)
★ビタミン補給:faHR =0.48(0.31〜0.75)
★ニンニク補給:faHR =0.66(0.43〜1.00)
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・胃がん発生率と死亡率に対するピロリ菌治療の効果、および胃がんによ?死亡率に対するビタミン補給の効果は早期に現れたが、胃がん発生率に対するニンニク補給やビタミン補給の効果は後になって現れた。
・介入と他の癌または心血管疾患との間に統計的に有意な関連性は見つからなかった。
【結論】
2週間のピロリ菌治療と7年間のビタミンまたはニンニクサプリメントは、22年以上の胃癌による死亡リスクの統計的に有意な減少と関連していた。
ピロリ菌治療とビタミン補給も、胃癌の発生率を統計的に有意に減少させた。
【コメント】
アブストのみ。
1995年より以前から検討された大規模かつ長期的なランダム化比較試験。平均追跡期間7.3年に執念を感じました。さらに2017年まで追加で追跡しているところは脱帽です。
さて、結果としてはピロリ菌を除菌した方が良いという結果。またビタミン(C, E, セレン)摂取だけでも効果ありそうとのこと。
気になるところは、試験参加者と試験デザインですね。ここはもう少し読み込んでみます。
ただ何と言ってもピロリ菌感染ハイリスクとはいえ健常者を対象としているところが非常に価値がありますね。
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