Portman MA et al.
Pediatrics. 2019 Jun;143(6). pii: e20183675.
doi: 10.1542/peds.2018-3675. Epub 2019 May 2.
PMID: 31048415
【目的】
川崎病患者は、特に静脈内免疫グロブリン(IVIg)療法に抵抗性のある患者において、人生を変える冠動脈異常を発症する可能性がある。
腫瘍壊死因子α受容体拮抗薬エタネルセプト使用による IVIg耐性と冠状動脈(CA)疾患の進行抑制について検討した。
【方法】
二重盲検多施設試験では、川崎病患者に、IVIg注入直後からエタネルセプト(0.8 mg / kg; n =100)またはプラセボ(n =101)のいずれかを皮下投与した。
IVIg耐性は、年齢、性別、および人種に応じて事前に特定されたサブグループ分析による主要アウトカムだった。
二次アウトカムは、ベースライン時の冠状動脈拡張によって定義されたサブグループ内の心エコーCA測定値(zスコア> 2.5)を含んだ。一般化推定式を使用して、zスコアの変化と絶対直径の変化に対する事前指定のアルゴリズムを分析した。
【結果】
・IVIg耐性は、プラセボ群で22%、エタネルセプト群で13%発生した(P =0.10)。
・エタネルセプトは、1歳超の患者における IVIg耐性を低下させた(P =0.03)。
・全集団において、46人(23%)がベースライン時に冠動脈のZスコア2.5超を有していた。
・エタネルセプトはベースライン拡張の有無にかかわらず冠動脈zスコアを減少させた(CA拡張あり;P =0.04, CA拡張なし;P =0.001)。一方、プラセボ群では改善は見られなかった。
・エタネルセプト(n =22)は、プラセボ(n =24)と比較してベースライン時にCA拡張(P = 0.03)を有する患者においてCA拡張の進行を減少させた。
・エタネルセプトとプラセボの間で安全性プロファイルに差はありませんでした。
【結論】
エタネルセプトは、全集団のIVIg耐性において有意な利益を示さなかった。しかし事前に計画された分析では、1歳超の患者に有益性を示した。
重要なことに、エタネルセプトは、特にベースライン異常を有する患者において、CA拡張を改善するように思われた。
【コメント】
アブストのみ。
川崎病における IVIg耐性の患者では、疾患の重症度が高く予後不良であることが過去に報告されている。そこで免疫抑制薬の一つであるエンブレル®️(エタネルセプト)で IVIg耐性がキャンセルされるか検討を行った。
そもそも主要アウトカムがサブグループ解析なのが気になるところだが、着眼点は面白いと感じた。
またハイリスク患者において、エタネルセプトの益が大きそう。続報に期待したい。
ちなみにエンブレル®︎に川崎病の適応はない(レセプトは切られなそうですよね)。
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