2型糖尿病患者における心房細動の新規発症と認知症との関連は?(コホート研究; Diabetes Obes Metab. 2024)

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心房細動の新規発症は認知症と関連しているのか?

心房細動は2型糖尿病患者で発症しやすいことが報告されています。また、2型糖尿病は認知症を発症しやすいことも報告されています。しかし、2型糖尿病患者における心房細動の新規発症と、認知症の発症リスクとの関連性については充分に検証されていません。

そこで今回は、心房細動有病率の高い2型糖尿病患者における心房細動の新規発症と認知症リスクとの関連性を評価することを目的に実施されたコホート研究の結果をご紹介します。

このコホート研究はUK Biobankの2型糖尿病患者 22,989例を対象としました。心房細動の新規発症は入院記録から確認されました。全認知症、アルツハイマー病、血管性認知症の同定には、UK Biobankが公式に発表したアルゴリズムが用いられました。このアルゴリズムは、入院記録や死亡登録など複数の情報源を用いて開発されました。

新たに発症した心房細動と認知症との関連を調べるために、時変Cox回帰分析が行われました。

試験結果から明らかになったことは?

2,843人が心房細動を発症し、残りの20,146人は発症しませんでした。中央値12.3年の追跡期間中に、全認知症844例、アルツハイマー型認知症342例、血管性認知症246例が発生しました。

(心房細動を有する人 vs. 心房細動を有さない人)ハザード比 HR
(95%CI)
全認知症HR 2.15(1.80〜2.57
アルツハイマー型認知症HR 1.44(1.06〜1.96
血管性認知症HR 3.11(2.32〜4.17

心房細動を有さない人と比較して、心房細動を有する人は全認知症(ハザード比[HR] 2.15、95%信頼区間[CI] 1.80〜2.57)、アルツハイマー型認知症(HR 1.44、95%CI 1.06〜1.96)、血管性認知症(HR 3.11、95%CI 2.32〜4.17)のリスクが高いことが示されました。

コメント

2型糖尿病患者は認知症を発症しやすいことが報告されていますが、心房細動の新規発症の有無により認知症を発症しやすいか否かについては充分に検証されていません。

さて、イギリスのコホート研究の結果、新たに発症した心房細動は、2型糖尿病患者における全認知症、アルツハイマー型認知症、血管性認知症の実質的に高いリスクと関連していました。

あくまでも相関関係が示されたに過ぎませんが、2型糖尿病患者における心房細動の新規発症は、認知症を有さない場合と比較して、認知症の高い発症リスクと関連しているようです。一方、心房細動を治療することで認知症の発症リスクが低減されるのかは不明です。更なる検証が求められます。

続報に期待。

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✅まとめ✅ イギリスのコホート研究の結果、新たに発症した心房細動は、2型糖尿病患者における全認知症、アルツハイマー型認知症、血管性認知症の実質的に高いリスクと関連していた。

根拠となった試験の抄録

目的:心房細動有病率の高い2型糖尿病患者における新規発症心房細動と認知症との関連を評価すること。

材料と方法:このコホート研究はUK Biobankの2型糖尿病患者 22,989例を対象とした。新規発症心房細動は入院記録から確認した。全認知症、アルツハイマー病、血管性認知症の同定には、UK Biobankが公式に発表したアルゴリズムを用いた。このアルゴリズムは、入院記録や死亡登録など複数の情報源を用いて開発された。新たに発症した心房細動と認知症との関連を調べるために、時変Cox回帰分析を行った。

結果:2,843人が心房細動を発症し、残りの20,146人は発症しなかった。中央値12.3年の追跡期間中に、全認知症844例、アルツハイマー型認知症342例、血管性認知症246例が発生した。心房細動を有さない人と比較して、心房細動を有する人は全認知症(ハザード比[HR] 2.15、95%信頼区間[CI] 1.80〜2.57)、アルツハイマー型認知症(HR 1.44、95%CI 1.06〜1.96)、血管性認知症(HR 3.11、95%CI 2.32〜4.17)のリスクが高かった。

結論:新たに発症した心房細動は、2型糖尿病患者における全認知症、アルツハイマー病、血管性認知症の実質的に高いリスクと関連していた。我々の知見は、この層における認知症リスクを軽減するための心房細動管理の重要性を強調するものである。

キーワード:心房細動、コホート、認知症、2型糖尿病

引用文献

Association between new-onset atrial fibrillation and dementia among individuals with type 2 diabetes
Ying Zhou et al. PMID: 38874105 DOI: 10.1111/dom.15714
Diabetes Obes Metab. 2024 Jun 14. doi: 10.1111/dom.15714. Online ahead of print.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38874105/

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