パーキンソン病患者における集団運動の効果は?
パーキンソン病(PD)は運動機能と運動能力の予測可能な低下と関連しており、一般的に運動で管理されます。運動機能や移動能力に対する、個別運動(IE)や通常ケア(UC)と比較した集団運動の効果についての理解は限られています。
そこで今回は、PD患者の運動機能と移動能力に対する、IEやUCと比較した集団運動の効果を調査することを目的に実施されたメタ解析の結果をご紹介します。
システマティックレビューとメタ解析により、PD患者の運動機能と移動に対するIEやUCと比較した群間運動の効果を検討したランダム化対照試験が対象となりました。
PubMed、EBSCO、Science Directのデータベースで系統的検索が行われました。方法論的質はCochrane Grading of Recommendations Assessment, Development, and Evaluationの手法を用いて評価されました。
試験結果から明らかになったことは?
23件の研究が少なくとも1つの運動機能関連のアウトカム指標を評価し、包含基準を満たしており、定量的解析に含まれました。
すべての標準化アウトカム評価メタ解析において、運動機能および移動に関して、集団運動と個別運動との間に有意差はありませんでした。
11の標準化アウトカム評価メタ解析のうち9において、運動機能と移動は通常ケアと比較して集団運動で有意に改善しました。結果は、低~中程度の質の証拠に基づいていました。
コメント
パーキンソン病患者における運動の効果、特に “集団で実施する運動” の効果については充分に検証されていません。
さて、メタ解析の結果、低~中程度の質の証拠に基づくと、集団運動はパーキンソン病患者の運動機能および運動能力の改善において個別運動および通常ケアと同等またはそれ以上の効果を有することが示されました。
理学療法士による運動指導が中心になるかと思いますが、薬剤師も運動効果について理解し連携することで、パーキンソン病患者に有益となる可能性があります。
どのような運動、実施期間、患者背景が影響しているのか知りたいところです。
続報に期待。
✅まとめ✅ メタ解析の結果、低~中程度の質の証拠に基づくと、集団運動はパーキンソン病患者の運動機能および運動能力の改善において個別運動および通常ケアと同等またはそれ以上の効果を有することが示された。
根拠となった試験の抄録
目的:パーキンソン病(PD)は運動機能と運動能力の予測可能な低下と関連しており、一般的に運動で管理される。運動機能や移動能力に対する、個別運動(IE)や通常ケア(UC)と比較した集団運動の効果についての理解は限られている。我々の目的は、PD患者の運動機能と移動能力に対する、IEやUCと比較した集団運動の効果を調査することである。
方法:システマティックレビューとメタ解析を行い、PD患者の運動機能と移動に対するIEやUCと比較した群間運動の効果を検討したランダム化対照試験を用いた。PubMed、EBSCO、Science Directのデータベースで系統的検索を行った。方法論的質はCochrane Grading of Recommendations Assessment, Development, and Evaluationの手法を用いて評価した。
結果:23件の研究が少なくとも1つの運動機能関連のアウトカム指標を評価し、包含基準を満たしており、定量的解析に含まれた。すべての標準化アウトカム評価メタ解析において、運動機能および可動性に関して、群間運動とIEとの間に有意差はなかった。11の標準化アウトカム評価メタ解析のうち9において、運動機能と可動性はUCと比較して群間運動で有意に改善した。結果は、低~中程度の質の証拠に基づいている。
結論:低~中程度の質の証拠に基づくと、集団運動はPD患者の運動機能および運動能力の改善においてIEおよびUCと同等またはそれ以上の効果を有する。熟練した理学療法と併用することで、集団運動は可動性と機能を最大化するための個別理学療法の適切な補助となりうる。
影響:運動療法を長期的に継続することは、PD患者の移動能力と運動機能を維持するために不可欠である。本研究は、集団運動がIEと同程度に効果的であり、アクセス、社会化、説明責任の向上に関連した長期的なアドヒアランスを促す適切な選択肢である可能性を示唆している。
キーワード:運動、運動療法、運動能力、運動活動、パーキンソン病
引用文献
Effects of Group Exercise on Motor Function and Mobility for Parkinson Disease: A Systematic Review and Meta-Analysis
Diana Palm et al. PMID: 38335243 DOI: 10.1093/ptj/pzae014
Phys Ther. 2024 Apr 2;104(4):pzae014. doi: 10.1093/ptj/pzae014.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38335243/
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