Use of liraglutide and risk of major cardiovascular events: a register-based cohort study in Denmark and Sweden
Svanström H et al. The Lancet Diabetes & Endocrinology 2018 DOI:https://doi.org/10.1016/S2213-8587(18)30320-6
試験背景
臨床試験の結果によれば、グルカゴン様ペプチド-1受容体アゴニストであるリラグルチド(ビクトーザ®️)は、心血管疾患を確立しているか、または心血管リスクが高い2型糖尿病患者の主要な心血管イベントのリスクを有意に低下させる。日常的な臨床診療におけるリラグルチドの心血管効果の評価を目的に検討した。
方法
2型糖尿病患者において、活性型比較薬物クラスであるジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)阻害剤と比較して、リラグルチドに関連する主要な心血管イベントのリスクを調査するために、スウェーデンおよびデンマークの人口レジストリデータを用いた。対象となったのは2010年1月1日から2016年12月31日のデータ。 コホートには、ベースライン時にメトホルミンを使用した患者も含まれていた。いずれの場合もリラグルチドあるいはDPP-4阻害薬で治療した患者を対象とした。 年齢、性別をもとに傾向スコアで1:1に一致させた。さらに複合アウトカムについても検討した。これには他の虚血性心疾患、冠動脈再建術、末梢動脈疾患、心不全、任意の原因による死亡が含まれていた。
結果
本試験には、リラグルチド使用者23,402例、マッチさせたDPP-4阻害薬使用者23,402が含まれた。フォローアップは平均3.3年(SD 2.0年)。 フォローアップ期間中、心血管イベントはリラグルチド群で1,132例(発症率14.0 / 1000人年)、DPP-4阻害薬群で1,141例(発症率15.4 / 1000人年)。ハザード比(hazard ratio [HR] )は0.90(95% CI 0.83〜0.98)。
主要な心血管疾患の既往患者ではHR =0.81(0.71-0.92)であり、心血管疾患の既往歴のない患者では0.96(0.86〜1.06, 同等性の検定でP=0.057と有意差なし)。
DPP-4阻害剤の使用と比較して、リラグルチドの使用は、有意に心血管死リスクの低下と関連していた(HR =0.78, 95%CI 0.68〜0.91)が、心筋梗塞(0.94, 0.84〜1.06)や脳卒中(0.88, 0.77〜1.01)のリスクについては有意差は認められなかった。
さらに、リラグルチドの使用は全死亡リスク低下 (HR =0.83, 95% CI 0.77〜0.90)に関連していたが、心不全(0.90, 0.80〜1.03)または主要心血管イベント(0.95, 0.89〜1.01)については有意な差はみとめられなかった。
考察
大規模スカンジナビアコホートにおいて、リラグルチドによる治療は、DPP-4阻害薬と比較して、心血管イベントリスクを有意に減少させた。
なかでも心血管疾患の既往歴を有する患者において、リラグルチド使用が最大の利益を引き出すと思われた。
本研究の結果は、日常の臨床診療におけるリラグルチドのルーティン使用が心血管イベント抑制効果をもたらす結果を支持する。
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