ヨーグルトの長期摂取と大腸がん罹患率との関連性は?(Gut Microbes. 2025)

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ヨーグルトの定期摂取と大腸がん発症との関連性は?

一般的にビフィズス菌を含むヨーグルトの摂取による腫瘍抑制効果を示唆する証拠があります。しかし、実臨床における検証は充分に行われていません。

そこで今回は、ヨーグルトの長期摂取と大腸がん罹患との関連について、組織のビフィズス菌量によって腫瘍サブグループごとに異なる可能性があるという仮説を基に検証された研究結果をご紹介します。

本研究は、前向きコホート偶発腫瘍バイオバンク法と2つの前向きコホート研究のリソースを利用しました。逆確率重み付け多変量Cox比例ハザード回帰により、腫瘍組織ビフィズス菌の量によって亜分類された大腸がんの発生率とヨーグルト摂取との差異のある関連について評価されました。

試験結果から明らかになったことは?

132,056人の追跡期間中、3,079例の大腸がん罹患が記録され、そのうち1,121例は組織ビフィズス菌のデータが入手可能でした。

ヨーグルトの長期摂取と大腸がん罹患との関連は、ビフィズス菌の存在量によって異なっていました(異質性のP=0.0002)。

ハザード比 HR(95%CI)
ビフィズス菌陽性腫瘍HR 0.80(0.50~1.28
ビフィズス菌陰性腫瘍HR 1.09(0.81~1.46

2食以上/週(1食未満/月)のヨーグルト摂取者における多変量調整ハザード比(HR)は、ビフィズス菌陽性腫瘍で0.80(95%CI 0.50~1.28)、ビフィズス菌陰性腫瘍で1.09(0.81~1.46)でした。

この差のある関連は、近位結腸癌のサブグループ解析でも観察されました(異質性のP=0.018)。

コメント

長期的なヨーグルト摂取と大腸がん発症リスクとの関連性については充分に検証されていません。

さて、前向きコホート偶発腫瘍バイオバンク法と2つの前向きコホート研究のリソースを利用した研究の結果、ヨーグルトの長期摂取は、ビフィズス菌の存在量に応じて近位結腸癌の発生率と異なる関連を示す可能性があり、特定の腫瘍サブグループに対するヨーグルト摂取の抗腫瘍効果が示唆されました。

長年にわたりヨーグルトを週に2回以上摂取している集団では、腫瘍組織内にビフィズス菌が検出されるビフィズス菌陽性の大腸がん発症リスクが20%低いことが示されたものと解釈できます。その一方で、区間推定幅0.50~1.28の結果から、発症リスクが50%減少する、あるいは28%増加する可能性があります。

ヨーグルトの抗腫瘍効果については、更なる検証が求められます。

続報に期待。

person holding silver spoon and white plastic cup

✅まとめ✅ ヨーグルトの長期摂取は、ビフィズス菌の存在量に応じて近位結腸癌の発生率と異なる関連を示す可能性があり、特定の腫瘍サブグループに対するヨーグルト摂取の抗腫瘍効果を示唆したものの、有意な結果は示されなかった。

根拠となった試験の抄録

背景:一般的にビフィズス菌を含むヨーグルトの摂取による腫瘍抑制効果を示唆する証拠がある。われわれは、ヨーグルトの長期摂取と大腸がん罹患との関連は、組織のビフィズス菌量によって腫瘍サブグループごとに異なる可能性があるという仮説を立てた。

方法:我々は、前向きコホート偶発腫瘍バイオバンク法と2つの前向きコホート研究のリソースを利用した。逆確率重み付け多変量Cox比例ハザード回帰を用いて、腫瘍組織ビフィズス菌の量によって亜分類された大腸がんの発生率とヨーグルト摂取との差異のある関連を評価した。

結果:132,056人の追跡期間中、我々は3,079例の大腸がん罹患を記録し、そのうち1,121例は組織ビフィズス菌のデータが入手可能であった。ヨーグルトの長期摂取と大腸がん罹患との関連は、ビフィズス菌の存在量によって異なっていた(異質性のP=0.0002)。2食以上/週(1食未満/月)のヨーグルト摂取者における多変量調整ハザード比(HR)は、ビフィズス菌陽性腫瘍で0.80(95%CI 0.50~1.28)、ビフィズス菌陰性腫瘍で1.09(0.81~1.46)であった。この差のある関連は、近位結腸癌のサブグループ解析でも観察された(異質性のP=0.018)。

結論:ヨーグルトの長期摂取は、ビフィズス菌の存在量に応じて近位結腸癌の発生率と異なる関連を示す可能性があり、特定の腫瘍サブグループに対するヨーグルト摂取の抗腫瘍効果を示唆している。

キーワード:栄養、がん疫学、食事、マイクロバイオーム、分子病理疫学

引用文献

Long-term yogurt intake and colorectal cancer incidence subclassified by Bifidobacterium abundance in tumor
Satoko Ugai et al. PMID: 39937126 PMCID: PMC11834522 DOI: 10.1080/19490976.2025.2452237
Gut Microbes. 2025 Dec;17(1):2452237. doi: 10.1080/19490976.2025.2452237. Epub 2025 Feb 12.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39937126/

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