ラプンツェル症候群の解明:胃の毛髪胃石を有するユニークな症例(症例報告; Int J Surg Case Rep. 2025)

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ラプンチェル症候群とは?

ラプンツェル症候群は、トリコチロマニア(trichotillomania:強迫性抜毛症)とトリコファギア( trichophagia:毛髪摂食症)により毛球が形成されるまれな疾患です。

この疾患は診断が遅れることが多く、重篤な消化器合併症を引き起こすことが知られています。そのため、疾患の理解には症例報告を参照するのが適しています。

そこで今回は、胃の毛髪胃石を有するユニークなラプンツェル症候群の症例についてご紹介します。

症例と経過

農村地域に住む19歳の女性が、慢性の腹痛、嘔吐、および鱗屑(りんせつ)性皮膚や甲状腺腫などの栄養欠乏を呈しました。

時間の経過とともに症状は悪化し、触知可能な腹部腫瘤が発見されました。上部消化管内視鏡検査を含む臨床評価の結果、食道下部から幽門部まで伸展する大きな毛髪胃石が認められました。

患者には異食症(pica:ピカ)と強迫行為の既往があり、精神医学的関与が示唆されました。

本症例の臨床的考察は?

内視鏡検査の結果、20×13.5×9cmの扁平上皮が発見されました。手術による摘出が成功し、患者の消化器症状は改善しました。

術後は栄養サポートを受け、個人診療所にて再発予防を目的に、強迫性抜毛症と毛髪摂食症を管理するための精神医学的評価を受けました。

コメント

胃石は消化できない食物や消化管内の異物から形成される塊です。これらの塊は、葉野菜(植物性胃石)、制酸剤などの薬剤(薬物性胃石)、または毛髪や脂肪などの物質(毛髪胃石)から発生することがあります。胃石は胃で最もよく見られ、特に胃の手術を受けた患者に多くみられますが、手術歴がない場合、根本的な原因は抜毛症などの精神疾患であることが多いとされています。 

毛髪胃石は、胃腸機能が正常な小児や青年によく見られ、通常は「ラプンツェル症候群」と呼ばれる根本的な行動障害が原因です。この症候群は、胃から小腸に伸びた胃異物(典型的には毛髪)の存在が特徴です。毛髪胃石の全体的な発生率は、世界的に約0.5%とされています。

さて、今回のユニークな症例では、栄養欠乏に関連する症状を呈し、触知可能な腹部腫瘤(毛髪胃石)に起因していることがわかりました。患者には異食症(pica:ピカ)と強迫行為の既往があり、ラプンツェル症候群と診断されました。

症例数が少ない疾患や症候群については、定期的に症例報告を参照することで、目の前の患者の不定愁訴の原因について考察できることがあります。

続報に期待。

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✅まとめ✅ 今回のユニークな症例では、栄養欠乏に関連する症状を呈し、触知可能な腹部腫瘤(毛髪胃石)に起因していることがわかりました。患者には異食症(pica:ピカ)と強迫行為の既往があり、ラプンツェル症候群と診断されました。

根拠となった試験の抄録

序論と重要性:ラプンツェル症候群は、トリコチロマニア(trichotillomania:強迫性抜毛症)とトリコファギア( trichophagia:毛髪摂食症)により毛球が形成されるまれな疾患である。この疾患は診断が遅れることが多く、重篤な消化器合併症を引き起こす。

症例の提示:農村地域に住む19歳の女性が、慢性の腹痛、嘔吐、および鱗屑(りんせつ)性皮膚や甲状腺腫などの栄養欠乏を呈した。時間の経過とともに症状は悪化し、触知可能な腹部腫瘤を発見した。上部消化管内視鏡検査を含む臨床評価の結果、食道下部から幽門部まで伸展する大きな毛髪胃石が認められた。患者には異食症(pica:ピカ)と強迫行為の既往があり、精神医学的関与が示唆された。

臨床的考察:内視鏡検査の結果、20×13.5×9cmの扁平上皮が発見された。手術による摘出が成功し、患者の消化器症状は改善した。術後は栄養サポートを受け、個人診療所にて再発予防を目的に、強迫性抜毛症と毛髪摂食症を管理するための精神医学的評価を受けた。

結論:この症例は、慢性胃腸症状と栄養欠乏を有する患者におけるラプンツェル症候群の早期認識の必要性を強調している。効果的な管理と再発予防には集学的アプローチが不可欠である。

キーワード:思春期;症例報告;ラプンツェル症候群;Trichobezoar(毛髪胃石)

引用文献

Untangling rapunzel syndrome: A unique presentation of gastric trichobezoar
Krati Agarwal et al. PMID: 39709672 PMCID: PMC11726787 DOI: 10.1016/j.ijscr.2024.110714
Int J Surg Case Rep. 2025 Jan:126:110714. doi: 10.1016/j.ijscr.2024.110714. Epub 2024 Dec 16.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39709672/

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