心不全、COPD、心筋梗塞、脳卒中の30日再入院は外来フォローアップで減少できますか?(SR&MA; Prev Chronic Dis. 2024)

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再入院を防ぐ方法とは?

病院の再入院は公衆衛生上の重要な問題であり、米国の病院はこれを減らす責任を負っています。再入院を予防するための1つの戦略は、退院前に外来フォローアップ受診を予定することですが、フォローアップの効果検証については充分に行われていません。

そこで今回は、心不全、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、急性心筋梗塞(AMI)、脳卒中を発症して米国の病院を退院した患者において、外来での経過観察(フォローアップ)が30日間の全再入院を減少させる有効な方法であるかどうかを明らかにすることを目的に実施されたメタ解析の結果をご紹介します。

2013年から2023年までに発表された関連論文を特定するため、系統的レビューとメタ解析が行われました。PubMed、CINAHL、Cochraneが検索データベースの対象でした。

対象研究は、退院後の外来フォローアップ受診が30日間の全再入院に及ぼす影響を評価したものでした。

ランダム効果メタ解析により、プールされた調整効果推定値と95%CIが算出されました。

試験結果から明らかになったことは?

最初に2,256件の論文が同定されました。このうち、32件の論文がフルテキストレビューを受け、15件が組み入れ基準を満たしていました。心不全を扱った研究は7件、COPDが3件、AMIが2件、脳卒中が3件でした。10件の論文がメタ解析に充分な情報を提供しました。

プールされた調整効果指標
再入院リスク0.79(95%CI 0.69~0.91

プールされた調整効果指標は0.79(95%CI 0.69~0.91)であり、外来での経過観察が再入院のリスクを21%低下させることと関連していることが示されました。

しかしながら、高度の研究間異質性が認められた(Q=122.78; P<0.001 ;I2=92.7%)。

サブグループ解析の結果、研究の質、疾患の状態、特に時間依存性の解析法を用いたかどうかが異質性の多くを説明することが示されました。

コメント

痰飲患者に対する外来フォローアップの効果については充分に検証されていません。

さて、メタ解析の結果、外来フォローアップ訪問は、心不全または脳卒中で退院した患者の30日全再入院を減少させる有効な方法である可能性が示されました。一方、COPDでは有益性のエビデンスは乏しく、急性心筋梗塞を評価する研究はみられませんでした。

なかでも心不全は急性増悪を繰り返すことで予後が悪化し、寿命が短くなることが報告されています。このため、再入院を防ぐための外来フォローアップは重要な役割を担っています。本メタ解析により、一部の疾患や症候群について、再入院を予防できる可能性が示されましたが、結果の異質性は高く、再現性が示されるか、更なる検証が求められます。

続報に期待。

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✅まとめ✅ メタ解析の結果、外来フォローアップ訪問は、心不全または脳卒中で退院した患者の30日全再入院を減少させる有効な方法である可能性があるが、COPDでは有益性のエビデンスは乏しく、急性心筋梗塞を評価する研究はみられなかった。

根拠となった試験の抄録

はじめに:病院の再入院は公衆衛生上の重要な問題であり、米国の病院はこれを減らす責任を負っている。再入院を予防するための1つの戦略は、退院前に外来フォローアップ受診を予定することである。本研究の目的は、心不全、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、急性心筋梗塞(AMI)、脳卒中を発症して米国の病院を退院した患者において、外来での経過観察(フォローアップ)が30日間の全再入院を減少させる有効な方法であるかどうかを明らかにすることである。

方法:2013年から2023年までに発表された関連論文を特定するため、系統的レビューとメタ解析を行った。PubMed、CINAHL、Cochraneを検索した。
対象とした研究は、退院後の外来フォローアップ受診が30日間の全再入院に及ぼす影響を評価したものであった。ランダム効果メタ解析を用いて、プールされた調整効果推定値と95%CIを算出した。

結果:最初に2,256件の論文を同定した。このうち、32件の論文がフルテキストレビューを受け、15件が組み入れ基準を満たした。心不全を扱った研究は7件、COPDが3件、AMIが2件、脳卒中が3件であった。10件の論文がメタ解析に充分な情報を提供した。プールされた調整効果指標は0.79(95%CI 0.69~0.91)であり、外来での経過観察が再入院のリスクを21%低下させることと関連していることが示された。しかしながら、高度の研究間異質性が認められた(Q=122.78; P<0.001 ;I2=92.7%)。サブグループ解析の結果、研究の質、疾患の状態、特に時間依存性の解析法を用いたかどうかが異質性の多くを説明することが示された。

結論:外来フォローアップ訪問は、心不全または脳卒中で退院した患者の30日全再入院を減少させる有効な方法である可能性があるが、COPDでは有益性のエビデンスは乏しく、急性心筋梗塞を評価する研究はみられなかった。われわれの結果は、研究の質の重要性を強調している。

引用文献

Outpatient Follow-Up Visits to Reduce 30-Day All-Cause Readmissions for Heart Failure, COPD, Myocardial Infarction, and Stroke: A Systematic Review and Meta-Analysis
Dylan J Bilicki et al. PMID: 39325638 PMCID: PMC11451567 DOI: 10.5888/pcd21.240138
Prev Chronic Dis. 2024 Sep 26:21:E74. doi: 10.5888/pcd21.240138.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39325638/

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