睡眠時無呼吸症候群を有する妊婦においてもCPAPは有効なのか?
妊娠は閉塞性睡眠時無呼吸症候群(obstructive sleep apnea, OSA)の発症や増悪を助長し、妊娠合併症のリスクを高める可能性があります。
持続陽圧呼吸療法(Continuous positive airway pressure, CPAP)はOSAの第一選択であり、標準的な治療法ですが、OSAの妊婦におけるCPAP治療と妊娠合併症の減少との関連について充分に検証されていません。
そこで今回は、OSAの妊婦におけるCPAP療法と妊娠中の有害な高血圧転帰の減少との関連を調査することを目的に実施されたシステマティックレビュー&メタ解析の結果をご紹介します。
データ源として、PubMed、Embase、Cochrane Database of Systematic Reviews and Clinical Trialsが利用され、開始時から2023年11月5日まで検索されました。対象となった研究は、OSAを有する妊婦における高血圧および子癇前症リスクの低下に対するCPAP使用の治療効果を報告した原著論文でした。レビューの報告は、Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-Analyses(PRISMA)ガイドラインに従い行われました。
データは2人の著者が独立して抽出しました。ランダム効果モデルのメタ解析により、リスク比(RR)が報告されました。
本解析の主要アウトカムは、CPAP治療を受けたOSA妊婦とCPAP治療を受けなかった妊婦との妊娠高血圧症候群および子癇前症のRRでした。
試験結果から明らかになったことは?
809人(平均年齢 31.4歳、平均BMI 34.0)を対象とした6件の原著研究が同定され、メタ解析のために系統的にレビューされました。
| リスク比 RR (95%CI) | |
| 妊娠高血圧症候群 | RR 0.65 (0.47~0.89) P=0.008 |
| 子癇前症 | RR 0.70 (0.50~0.98) P=0.04 |
プールの結果、妊娠高血圧症候群(RR 0.65、95%CI 0.47~0.89;P=0.008)および子癇前症(RR 0.70、95%CI 0.50~0.98;P=0.04)のリスク低下において、介入群(CPAP使用)と対照群(CPAP非使用)の間に有意差が認められました。
メタ回帰の結果、患者の年齢(係数 -0.0190;P=0.83)およびBMI(係数 -0.0042;P=0.87)は、高血圧および子癇前症のリスク低下と相関していませんでした。
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閉塞性睡眠時無呼吸症候群(obstructive sleep apnea, OSA)を有する妊婦に対して、持続陽圧呼吸療法(Continuous positive airway pressure, CPAP)が有効であるかどうかについて検証が求められています。
さて、システマティックレビュー及びメタ解析の結果、OSAを有する妊婦にCPAP治療を実施することで、妊娠高血圧症候群および子癇前症のリスクが低下する可能性が示唆されました。ただし、研究数は6件、症例数は800例程度であるため、バイアスリスクを最小化するために更なる検証が求められるところです。
続報に期待。

✅まとめ✅ システマティックレビュー及びメタ解析の結果、OSAを有する妊婦にCPAP治療を実施することで、妊娠高血圧症候群および子癇前症のリスクが低下する可能性を示唆された。
根拠となった試験の抄録
試験の重要性:妊娠は閉塞性睡眠時無呼吸症候群(obstructive sleep apnea, OSA)の発症や増悪を助長し、妊娠合併症のリスクを高める可能性がある。持続陽圧呼吸療法(Continuous positive airway pressure, CPAP)はOSAの第一選択であり、標準的な治療法である。しかし、OSAの妊婦におけるCPAP治療と妊娠合併症の減少との関連については、まだ結論が出ていない。
目的:OSAの妊婦におけるCPAP療法と妊娠中の有害な高血圧転帰の減少との関連を調査すること。
データ源:PubMed、Embase、Cochrane Database of Systematic Reviews and Clinical Trialsのキーワード検索を開始時から2023年11月5日までに実施した。
研究の選択:OSAを有する妊婦における高血圧および子癇前症リスクの低下に対するCPAP使用の治療効果を報告した原著論文を選択した。
データ抽出と統合:レビューの報告は、Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-Analyses(PRISMA)ガイドラインに従った。データは2人の著者が独立して抽出した。ランダム効果モデルのメタ解析を行い、リスク比(RR)を報告した。サブグループ解析、年齢および体格指数(BMI;体重(kg)÷身長(m2)で算出)に基づくメタ回帰、および出版バイアスの評価も行った。
主要アウトカムと評価基準:主要アウトカムは、CPAP治療を受けたOSA妊婦とCPAP治療を受けなかった妊婦との妊娠高血圧症候群および子癇前症のRRとした。
結果:809人(平均年齢 31.4歳、平均BMI 34.0)を対象とした6件の原著研究が同定され、メタ解析のために系統的にレビューされた。プールの結果、妊娠高血圧症候群(RR 0.65、95%CI 0.47~0.89;P=0.008)および子癇前症(RR 0.70、95%CI 0.50~0.98;P=0.04)のリスク低下において、介入群(CPAP使用)と対照群(CPAP非使用)の間に有意差が認められた。メタ回帰の結果、患者の年齢(係数 -0.0190;P=0.83)およびBMI(係数 -0.0042;P=0.87)は、高血圧および子癇前症のリスク低下と相関していなかった。
結論と関連性:これらの所見は、OSAを有する妊婦にCPAP治療を実施することで、妊娠高血圧症候群および子癇前症のリスクが低下する可能性を示唆している。
引用文献
Continuous Positive Airway Pressure Treatment and Hypertensive Adverse Outcomes in Pregnancy: A Systematic Review and Meta-Analysis
Yi-Chieh Lee et al. PMID: 39136943 PMCID: PMC11322849 DOI: 10.1001/jamanetworkopen.2024.27557
JAMA Netw Open. 2024 Aug 1;7(8):e2427557. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2024.27557.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39136943/


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