日本におけるmRNA COVID-19ワクチンブースター接種と死亡率との関連性は?(コホート内症例対象研究; VENUS研究; Hum Vaccin Immunother. 2024)

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COVID-19 mRNAワクチン ブースター接種と死亡リスクとの関連性は?

これまでの研究で、COVID-19 mRNAワクチンの一次接種後に死亡リスクの増加は認められなかったものの、ブースター接種に関する報告は不足しています。

そこで今回は、一次接種に加えてmRNAワクチンのブースター接種後の死亡リスクを評価することを目的としたコホート内症例対照研究(ネステッドケースコントロール研究)の結果をご紹介します。

このコホート内症例対照研究では、2つの自治体における2つの年齢別コホート(2021年2月1日時点で18~64歳と65歳以上)が対象となりました。

すべての死亡例を同定し、死亡日(指標日)ごとに、市町村、年齢、性別によるリスクセットのサンプリングで、各症例に対して5人の対照がマッチされました。

条件付きロジスティック回帰モデルを用いて、指標日前21日以内と42日以内に接種しなかった場合と比較し、mRNAワクチン(初回から5回目)の調整オッズ比(aOR)と95%信頼区間(CI)が推定されました。

試験結果から明らかになったことは?

18~64歳のコホートは431例(平均年齢 57.0歳、男性 58.2%)と2,155例(平均年齢 56.0歳、男性 58.2%)で構成され、65歳以上のコホートは12,166例(84.0歳、50.2%)と60,830例(84.0歳、50.2%)で構成されました。

(18~64歳のコホート)接種後0~21日のaOR(95%CI)
vs. 指標日から42日以内の未接種
3回目aOR 0.62(0.24〜1.62
4回目aOR 0.38(0.08〜1.84

18~64歳のコホートにおける3回目と4回目の接種後0~21日のaOR(95%CI)は、それぞれ0.62(0.24〜1.62)と0.38(0.08〜1.84)でした。

(65歳以上のコホート)接種後0~21日のaOR(95%CI)
vs. 指標日から42日以内の未接種
3回目aOR 0.36(0.31〜0.43
4回目aOR 0.30(0.25〜0.37
5回目aOR 0.26(0.20〜0.33

65歳以上のコホートにおける3~5回目の接種後のaOR(95%CI)は、それぞれ0.36(0.31〜0.43)、0.30(0.25〜0.37)、0.26(0.20〜0.33)でした。

コメント

ポストコロナ、ウィズコロナにおけるCOVID-19 mRNAワクチン接種後の検証が求められています。特にブースター接種に関する検証が求められています。

さて、日本のコホート内症例対象研究の結果、COVID-19 mRNAワクチンのブースター接種は死亡リスクを増加させないことが示唆されました。

65歳以上においては、接種回数が増加するほど、死亡リスクが低下する可能性が示されていますが、これは寿命が長い集団において、接種回数が増えるという相関関係に裏打ちされる可能性が高いと考えられます。

ワクチンの有効性・安全性について、定期的な検証が求められます。

続報に期待。

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✅まとめ✅ 日本のコホート内症例対象研究の結果、COVID-19 mRNAワクチンのブースター接種は死亡リスクを増加させないことが示唆された。

根拠となった試験の抄録

背景:これまでの研究で、COVID-19 mRNAワクチンの一次接種後に死亡リスクの増加は認められなかったが、ブースター接種に関する報告は不足している。本研究では、一次接種に加えてmRNAワクチンのブースター接種後の死亡リスクを評価することを目的とした。

方法:このネステッド症例対照研究では、2つの自治体における2つの年齢別コホート(2021年2月1日時点で18~64歳と65歳以上)を対象とした。すべての死亡例を同定し、死亡日(指標日)ごとに、市町村、年齢、性別によるリスクセットのサンプリングで、各症例に対して5人の対照をマッチさせた。条件付きロジスティック回帰モデルを用いて、指標日前21日以内と42日以内に接種しなかった場合と比較し、mRNAワクチン(初回から5回目)の調整オッズ比(aOR)と95%信頼区間(CI)を推定した。

結果:18~64歳のコホートは431例(平均年齢 57.0歳、男性 58.2%)と2,155例(平均年齢 56.0歳、男性 58.2%)で構成され、65歳以上のコホートは12,166例(84.0歳、50.2%)と60,830例(84.0歳、50.2%)で構成された。18~64歳のコホートにおける3回目と4回目の接種後0~21日のaOR(95%CI)は、それぞれ0.62(0.24〜1.62)と0.38(0.08〜1.84)であった。65歳以上のコホートにおける3~5回目の接種後のaOR(95%CI)は、それぞれ0.36(0.31〜0.43)、0.30(0.25〜0.37)、0.26(0.20〜0.33)であった。

結論:mRNAワクチンのブースター接種は死亡リスクを増加させない。これらの知見は、その後のワクチンキャンペーンに役立ち、ワクチン接種のためらいを軽減することができるであろう。

キーワード:COVID-19ワクチン、mRNAワクチン、死亡率、ネステッド症例対照研究、ワクチンの安全性

引用文献

Association between mRNA COVID-19 vaccine boosters and mortality in Japan: The VENUS study
Wataru Mimura et al. PMID: 38757631 DOI: 10.1080/21645515.2024.2350091
Hum Vaccin Immunother. 2024 Dec 31;20(1):2350091. doi: 10.1080/21645515.2024.2350091. Epub 2024 May 17.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38757631/

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