週末の寝溜めと心血管疾患との関連性はどのくらいですか?(米国の横断研究; Sleep Health. 2023)

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平日の睡眠が6時間未満で週末に寝溜めする集団の特徴とは?

現代の社会人は多忙であり、睡眠時間が短いことが社会的問題となっています。睡眠時間の短さと心血管疾患との発症リスク増加との関連性が報告されています。一方、このような集団の一部で週末に寝溜め(キャッチアップ睡眠)をする者がいますが、将来にわたる心血管疾患リスクとの関連性については充分に検証されていません。

そこで今回は、米国の成人における週末のキャッチアップ睡眠時間と心血管疾患有病率との関係を調査した横断研究の結果をご紹介します。

試験参加者は、2017-2018 National Health and Nutrition Examination Survey(NHANES)の20歳以上の成人(n=3,400)でした。

本研究の測定項目として、社会人口統計学的特性、睡眠時間(平日と週末)、心血管疾患、高血圧、糖尿病の有無が全参加者について記録されました。週末のキャッチアップ睡眠は、週末の睡眠時間が平日より1時間長いことと定義されました。週末のキャッチアップ睡眠と心血管疾患との関係を評価するために、調整多変量ロジスティック回帰分析が行われました。

試験結果から明らかになったことは?

心血管疾患のある参加者は、心血管疾患のない参加者よりも週末のキャッチアップ睡眠が短いことが示されました(P<0.01)。

週末のキャッチアップ睡眠がある参加者は、週末の睡眠時間に有意な変化がない参加者よりも心血管疾患の有病率が低いことが示されました(P<0.01)。

調整多変量ロジスティック回帰分析によると、週末のキャッチアップ睡眠は狭心症(P=0.04)、脳卒中(P<0.01)、冠動脈性心疾患(P=0.01)の有病率と有意に関連していました。

週末のキャッチアップ睡眠は、平日の睡眠時間が6時間未満の場合、心血管疾患有病率の低下と関連していました(P<0.01)

平日の睡眠時間が6時間未満の参加者を層別化した解析では、週末のキャッチアップ睡眠時間(2時間以上)は心血管疾患の有病率の低下と関連していました(P=0.01)

コメント

週末の寝溜め(キャッチアップ睡眠)による患者転帰との関連性については充分に検証されていません。

さて、米国の横断研究の結果、平日の睡眠時間が6時間未満の場合、週末のキャッチアップ睡眠時間が2時間以上であることが心血管疾患有病率の低下と強く関連していることが示されました。

ただし、限られた地域の限られた測定結果において、あくまでも相関関係が示されたに過ぎません。より長期間の継続的な検証結果が求められます。また、日本人などのアジア人種でも同様の結果が示されるのかについても不明です。とはいえ、ヒトにとって睡眠の重要性は共通したものであることから、結果の外挿性についてはある程度可能であると考えられます。

続報に期待。

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まとめ:米国の横断研究の結果、平日の睡眠時間が6時間未満の場合、週末のキャッチアップ睡眠時間が2時間以上であることが心血管疾患有病率の低下と強く関連していることを示している。

根拠となった試験の抄録

目的:本研究の目的は、米国の成人における週末のキャッチアップ睡眠時間と心血管疾患有病率との関係を調査することである。

試験デザイン:横断研究

試験設定:米国。

試験参加者:2017-2018 National Health and Nutrition Examination Survey(NHANES)の20歳以上の参加者(n=3,400)。

測定項目:社会人口統計学的特性、睡眠時間(平日と週末)、心血管疾患、高血圧、糖尿病の有無を全参加者について記録した。週末のキャッチアップ睡眠は、週末の睡眠時間が平日より1時間長いことと定義した。週末のキャッチアップ睡眠と心血管疾患との関係を評価するために、調整多変量ロジスティック回帰分析を行った。

結果:心血管疾患のある参加者は、心血管疾患のない参加者よりも週末のキャッチアップ睡眠が短かった(P<0.01)。週末のキャッチアップ睡眠がある参加者は、週末の睡眠時間に有意な変化がない参加者よりも心血管疾患の有病率が低かった(P<0.01)。調整多変量ロジスティック回帰分析によると、週末のキャッチアップ睡眠時間は狭心症(P=0.04)、脳卒中(P<0.01)、冠動脈性心疾患(P=0.01)の有病率と有意に関連していた。週末のキャッチアップ睡眠は、平日の睡眠時間が6時間未満の場合、心血管疾患有病率の低下と関連していた(P<0.01)。平日の睡眠時間が6時間未満の参加者を層別化した解析では、週末の追い上げ睡眠時間(2時間以上)は心血管疾患の有病率の低下と関連していた(P=0.01)。

結論:我々の知見は、平日の睡眠時間が6時間未満の場合、週末のキャッチアップ睡眠時間が2時間以上であることが心血管疾患有病率の低下と強く関連していることを示している。

キーワード:心血管疾患、糖尿病、高血圧、睡眠時間、週末の追い上げ睡眠

引用文献

Association between weekend catch-up sleep and cardiovascular disease: Evidence from the National Health and Nutrition Examination Surveys 2017-2018
Hong Zhu et al. PMID: 38000943 DOI: 10.1016/j.sleh.2023.09.006
Sleep Health. 2023 Nov 23:S2352-7218(23)00226-7. doi: 10.1016/j.sleh.2023.09.006.Online ahead of print.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38000943/

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