進行CKDにおける尿酸排泄および血清尿酸値に対するダパグリフロジンの効果はどのくらい?(後向き研究; Sci Rep. 2023)

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尿酸排泄に対するSGLT-2阻害薬の効果は?

ナトリウム-グルコース共輸送体2阻害薬(SGLT2i)は慢性腎臓病(CKD)患者において腎保護作用を示し、糖尿病患者においては血清尿酸値を低下させることが示されています。しかし、進行したCKD患者においてSGLT2iが血清尿酸値を低下させるかどうかは明らかにされていません。

そこで今回は、進行したCKD患者における血清尿酸値の変化に対するSGLT2iの影響を検討することを目的とした日本の後向き研究の結果をご紹介します。

2021年8月から2022年8月までに当科でダパグリフロジン10mgを新規投与された日本人CKD患者121例のデータが解析されました。血清尿酸値および尿酸クリアランス分画(fractional excretion of UA, FEUA)の変化について重回帰分析により解析されました。

試験結果から明らかになったことは?

CKDステージ75例中
3a21例(28.0%)
3b24例(32.0%)
429例(38.7%)
51例(1.3%)

75例中、21例(28.0%)、24例(32.0%)、29例(38.7%)、1例(1.3%)がそれぞれCKDステージ3a、3b、4、5に分類されました。年齢中央値は67歳で、72.0%が男性でした。糖尿病患者は23例(30.7%)でした。

ダパグリフロジン投与時投与後
血清尿酸値6.4mg/dL5.6mg/dL
尿酸クリアランス分画6.76%9.22%

ダパグリフロジン投与時の推算糸球体濾過量、血清尿酸値、尿酸クリアランス分画の中央値はそれぞれ35.7mL/min/1.73m2、6.4mg/dL、6.76%でした。投与後、血清尿酸値は5.6mg/dLに減少し、尿酸クリアランス分画は9.22%に増加しました。

コメント

SGLT-2阻害薬は様々な効果を有しており、2型糖尿病治療だけでなく、心不全や慢性腎臓病の治療に用いられています。これらに加えて尿酸値や痛風発作のリスクを低減させる可能性が報告されていますが、充分に検証されていません。

さて、日本の小規模な後向き研究の結果によれば、進行したCKD患者においてダパグリフロジンは尿酸クリアランス分画を増加させ、血清尿酸値を低下させました。

これまでの報告と矛盾しません。日本人においても、ダパグリフロジンは血清尿酸値を低下させるようです。

続報に期待。

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✅まとめ✅ 日本の小規模な後向き研究の結果によれば、ダパグリフロジンは進行したCKD患者において尿酸クリアランス分画を増加させ、血清尿酸値を低下させた。

根拠となった試験の抄録

背景:ナトリウム-グルコース共輸送体2阻害薬(SGLT2i)は慢性腎臓病(CKD)患者において腎保護作用を示し、糖尿病患者においては血清尿酸(UA)を低下させる。しかし、進行したCKD患者においてSGLT2iが血清UA値を低下させるかどうかは明らかにされていない。本研究では、進行したCKD患者における血清UA値の変化に対するSGLT2iの影響を検討することを目的とした。

方法:2021年8月から2022年8月までに当科でダパグリフロジン10mgを新規投与された日本人CKD患者121例のデータを解析した。UAおよび尿酸クリアランス分画(fractional excretion of UA, FEUA)の変化を重回帰分析を用いて解析した。

結果:75例中、21例(28.0%)、24例(32.0%)、29例(38.7%)、1例(1.3%)がそれぞれCKDステージ3a、3b、4、5に分類された。年齢中央値は67歳で、72.0%が男性であった。糖尿病患者は23例(30.7%)であった。ダパグリフロジン投与時の推算糸球体濾過量、血清UA、FEUAの中央値はそれぞれ35.7mL/min/1.73m2、6.4mg/dL、6.76%であった。投与後、血清UAは5.6mg/dLに減少し、FEUAは9.22%に増加した。

結論:ダパグリフロジンは進行したCKD患者において尿酸クリアランス分画を増加させ、血清尿酸値を低下させた。

引用文献

The effect of dapagliflozin on uric acid excretion and serum uric acid level in advanced CKD
Yukimasa Iwata et al. PMID: 36964174 PMCID: PMC10039024 DOI: 10.1038/s41598-023-32072-y
Sci Rep. 2023 Mar 24;13(1):4849. doi: 10.1038/s41598-023-32072-y.
ー 続きを読む https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36964174/

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