入院原因としてのCOVID-19、インフルエンザあるいは敗血症で患者予後は異なりますか?(人口ベースコホート研究; JAMA Intern Med. 2023)

african american female doctor sitting with papers in pandemic 09_感染症
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COVID-19、インフルエンザ、敗血症による入院患者の予後の比較

COVID-19による入院を生き延びた人は、心血管、神経、精神、炎症性自己免疫疾患を新たに発症するリスクがあります。しかし、COVID-19の入院後のリスクが他の重篤な感染症のリスクと比較して、どの程度なのかは充分に検証されていません。

そこで今回は、COVID-19入院後1年間の心血管疾患、神経疾患、精神疾患、関節リウマチなどの発症リスクについて、3つの比較対象群(COVID-19パンデミック前およびパンデミック中のインフルエンザによる入院、敗血症による入院)と比較検討した観察(コホート)研究の結果をご紹介します。

この集団ベースのコホート研究は、2020年4月1日から2021年10月31日の間にCOVID-19で入院したすべての成人、インフルエンザまたは敗血症で入院した過去の比較対象群、およびカナダのオンタリオ州において敗血症で入院した現代の比較対象群を対象としました。

本試験の曝露は、COVID-19、インフルエンザ、または敗血症による入院でした。

本試験の主要アウトカムは入院後1年以内の心血管疾患、神経疾患、精神疾患、関節リウマチなど、事前に規定した13疾患の新規発生でした。

試験結果から明らかになったことは?

対象成人379,366例(年齢中央値 75[IQR 63〜85]歳;54%女性)のうち、COVID-19による入院を生き延びた人は26,499例、過去の対照299,989例(インフルエンザ 17,516例、敗血症 282,473例)、敗血症で入院した現代の対照52,878例でした。

調整ハザード比
(95%CI)
COVID-19 vs. インフルエンザ
静脈血栓塞栓性疾患の1年リスク調整ハザード比 1.77
1.36〜2.31

COVID-19による入院は、インフルエンザと比較して、静脈血栓塞栓性疾患の1年リスクの上昇と関連していました(調整ハザード比 1.77、95%CI 1.36〜2.31)が、インフルエンザまたは敗血症コホートと比較して、選択された虚血性および非虚血性の脳血管障害および心血管障害、神経障害、関節リウマチ、または精神疾患の発症リスクの上昇は認められませんでした。

コメント

2019年から世界的に流行しているSARS-CoV-2は、さまざまな臨床症状を引き起こし、患者予後に大きな影響を与えます。しかし、他の疾患と比較した場合の患者予後への影響については充分に検証されていません。

さて、集団ベースのコホート研究の結果、COVID-19入院患者は、インフルエンザで入院した患者と比較して、1年以内の静脈血栓塞栓症のリスク上昇が示されました。一方、COVID-19による入院患者の急性期以降の医学的および精神的健康状態の負担は、インフルエンザや敗血症といった急性感染症と同程度でした。

あくまでも相関関係が示されたに過ぎませんが、これまでの報告と矛盾しないようです。ただし、COVID-19に特徴的な後遺症については言及されていないことから、さらなる検証が求められます。

続報に期待。

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✅まとめ✅ このコホート研究では、1年以内の静脈血栓塞栓症のリスク上昇を除けば、COVID-19による入院患者の急性期以降の医学的および精神的健康状態の負担は、他の急性感染症と同程度であった。

次のページに根拠となった論文情報を掲載しています。

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