根拠となった試験の抄録
目的:本研究では、歯磨きのタイミングが心血管疾患リスクに影響するかどうかを検討した。
方法:2013年4月から2016年3月までに大阪大学医学部附属病院に手術、検査、治療のために入院し同病院歯科診療部を受診した20歳以上の患者1,675例を登録した。歯科病棟を受診した理由は、術前の口腔ケア、感染源のスクリーニング、ステロイド治療前のスクリーニング、口腔ケアや歯科治療の依頼などであった。参加者は、歯磨きの有無により、MN群(起床後と夜間に歯を磨く、n=409)、Night群(夜間に歯を磨くが起床時には歯を磨かない、n=751)、M群(起床後に歯を磨くが夜間には歯を磨かない、n=164)、None群(全く歯を磨かない、n=259)に分類された。参加者の年齢、性別、喫煙歴、追跡調査結果が評価された。
結果:92名の無歯顎患者は除外し、合計1,583名の患者を対象とした。M群は男性が女性の4倍多かった。心血管イベントの多変量解析では、MN群(P=0.021)とNight群(P=0.004)の生存推定値がNone群より有意に高かった。喫煙状態に基づくサブグループのKaplan-Meier解析では、None群の喫煙者は他の群の喫煙者よりも心血管発症イベントの予後が有意に不良であった。また、None群およびM群の非喫煙者は入院時の予後が有意に不良であった。
結論:我々の知見は心血管系疾患に限定されたものであり、健康な集団に一般化することはできない。しかし、夜間の歯磨きは心血管疾患リスクを低下させるために重要であることが示唆された。
引用文献
Not brushing teeth at night may increase the risk of cardiovascular disease
Emiko Tanaka Isomura et al. PMID: 37380762 DOI: 10.1038/s41598-023-37738-1
Sci Rep. 2023 Jun 28;13(1):10467. doi: 10.1038/s41598-023-37738-1.
— 読み進める https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37380762/
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