歯学部生の歯垢に対するココナッツオイルプリングの効果はどのくらいですか?(小規模RCT; J Clin Diagn Res. 2017)

black father and son brushing teeth in bathroom 09_感染症
Photo by Keira Burton on Pexels.com
この記事は約5分で読めます。
ランキングに参加しています!応援してもよいよという方はポチってください!

ココナッツオイルを用いたオイルプリングによる歯垢除去効果はどのくらいか?

オイルプリングは、インドの伝統的な民間療法として、歯科疾患の予防や歯と歯茎の強化に長年にわたり広く使用されています。科学療法的な口腔内疾患予防あるいは歯垢除去方法としては、クロルヘキシジンが使用されていますが、不快な味、歯の着色、味覚の変化などのいくつかの欠点を有していることから代替療法が求められています。

ココナッツオイルは虫歯の原因となるカンジダ菌の増殖を抑えたり、抗炎症作用を有していることから、ココナッツオイルによるオイルプリングが注目されています。

そこで今回は、インド・ハイデラバード市の歯科学生を対象に、ココナッツオイルプリングによる歯垢除去効果をプラセボと比較・評価したランダム化比較試験の結果をご紹介します。

本試験では、歯科学生 40例を対象に、20例を介入群に、残りの20例を対照群にランダムに割り付けました。研究グループの被験者にはココナッツオイルが、対照群にはプラセボが与えられ、1日1回朝に10分間、7日間にわたって口腔内をすすぐようアドバイスされました。本試験の評価項目であるプラークレベルは、0日目、3日目、7日目に、両グループともプラークスコア(Turesky-Gilmore-Glickman Modification of the Quigley-Hein Plaque Index;1970)を用いて評価されました。

試験結果から明らかになったことは?

測定日介入群
(平均±SD)
対照群
(平均±SD)
P値
ベースライン1.64 ±0.371.74±0.400.443; NS
Day 31.35±0.271.52±0.380.102; NS
Day 71.16±0.281.50±0.37<0.001; 有意

プラークスコアの平均値は、介入群(p<0.001)および対照群(p<0.001)ともにベースライン、3日目および7日目に有意差を示した。その結果、介入群では対照群に比べ、3日目、7日目の平均プラークスコアが低かったが、7日目のみ有意差が認められた。さらに、プラークスコアの平均減少率も7日目のみ有意であり、介入群の平均プラーク減少率は高かった(p<0.001)。

コメント

口腔内洗浄としてクロルヘキシジンが使用されていますが、不快な味、歯の着色、味覚の変化などのいくつかの欠点を有していることから代替療法が求められています。

さて、本試験結果によれば、プラセボと比較して、ココナッツオイルによるオイルプリングはプラークレベルのコントロールに有効であることが示されました。ただし小規模な研究かつ短期間の検討結果であることから追試が求められます。また、虫歯の発生リスクを低減できるのかは不明であるため、より臨床上重要となるアウトカムの設定と検証が求められます。

その他の試験の限界としては、対象者が歯科学生であることなどがあげられます。中年から高齢者におけるオイルプリングの効果については不明です。また、機械的な歯磨きについては方法の項で触れられていませんので、交絡因子となる可能性があります。

続報に期待。

person holding white and gold dropper

☑まとめ☑ ココナッツオイルによるオイルプリングはプラークレベルのコントロールに有効なようであるが、虫歯の発生リスクを低減できるのかは不明である。

根拠となった試験の抄録

はじめに:オイルプリングは、インドの伝統的な民間療法として、歯科疾患の予防や歯と歯茎の強化に長年にわたり広く使用されている。

目的:インド・ハイデラバード市の歯科学生を対象に、ココナッツオイルプリングによる歯垢除去効果をプラセボと比較・評価する。

材料と方法:歯科学生 40例を対象にランダム化比較試験を実施した。40例のうち、20例を介入群に、残りの20例を対照群にランダムに割り付けた。研究グループの被験者にはココナッツオイルが、対照群にはプラセボが与えられ、1日1回朝に10分間、7日間にわたって口腔内をすすぐようアドバイスされた。プラークレベルは、0日目、3日目、7日目に、両グループともプラークスコア(Turesky-Gilmore-Glickman Modification of the Quigley-Hein Plaque Index;1970)を用いて評価された。

結果:プラークスコアの平均値は、介入群(p<0.001)および対照群(p<0.001)ともにベースライン、3日目および7日目に有意差を示した。その結果、介入群では対照群に比べ、3日目、7日目の平均プラークスコアが低かったが、7日目のみ有意差が認められた。さらに、プラークスコアの平均減少率も7日目のみ有意であり、介入群の平均プラーク減少率は高かった(p<0.001)。

結論:オイルプリングはプラークレベルのコントロールに有効である。

キーワード:歯科疾患、歯垢、虫歯

引用文献

Comparative Evaluation of Antiplaque Efficacy of Coconut Oil Pulling and a Placebo, Among Dental College Students: A Randomized Controlled Trial
Jithender Nagilla et al. PMID: 29207824 PMCID: PMC5713846 DOI: 10.7860/JCDR/2017/26656.10563
J Clin Diagn Res. 2017 Sep;11(9):ZC08-ZC11. doi: 10.7860/JCDR/2017/26656.10563. Epub 2017 Sep 1.
— 読み進める pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29207824/

コメント

タイトルとURLをコピーしました