心血管リスク因子とアウトカムに対する薬剤師の介入の効果は?(RCTのメタ解析のアンブレラレビュー; Br J Clin Pharmacol. 2022)

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薬剤師による介入は、心血管疾患の管理において有効なのか?

これまでの報告では、薬剤師による処方介入・患者フォローにより、患者のQOL向上や治療コストの削減、死亡リスクの低下など、様々な有益性が示されています。その一方で、処方介入のみでは一貫した結果が得られておらず、薬剤師の介入による効果は充分に検討されていません。

今回ご紹介するのは、ランダム化対照試験(RCT)のメタ解析を対象に、薬剤師の介入による心血管リスク因子および心血管アウトカムへの効果を評価したアンブレラレビューです。本試験ではMEDLINE、Embase、Cochrane Libraryをデータベース開設から2021年7月まで検索しました。エビデンスの質はGRADEアプローチで評価されました。

試験結果から明らかになったことは?

9,308件の論文から、149件のフルテキスト論文の適格性が評価され、薬剤師の介入が心血管リスク因子および心血管アウトカムに及ぼす影響が評価されました。85件の独自のメタ解析を含む24件の研究を選択しました。全体として、71.7%(61/85)のユニークなメタ解析において、薬剤師の介入の有意な影響が示されました。

異質性
全体63.4%で大きな異質性(I2>50%)
GRADEアプローチに基づく質の評価それぞれの割合
高度全体の1.2%
中程度16.5%
32.9%
極低49.4%

エビデンスの質については、63.4%のメタ解析で大きな異質性(I2>50%)が認められ、GRADEアプローチに基づく質の評価は、1.2、16.5、32.9、49.4%がそれぞれ高、中、低、極低とされました。

(中程度の質のメタ解析)薬剤師の介入による各アウトカムへの影響
(プールオッズ比)
血圧の収縮期6mmHg/拡張期3mmHgの低下1.91
(95%CI 1.55〜2.35
脂質コントロールの向上3.11
(95%CI 2.3, 4.3
血糖コントロールおよび禁煙率の向上2.3
(95%CI 1.33〜3.97

中程度の質のメタ解析では、薬剤師の介入はリスク因子(血圧の6/3mmHg低下、脂質コントロール、血糖コントロール、禁煙率の上昇など)を有意に軽減し(プールオッズ比[95%信頼区間]それぞれ1.91 [1.55〜2.35]、3.11[2.3, 4.3]、2.3[1.33〜3.97])、服薬遵守を改善しました(同 1.67[1.38〜2.02])。さらに、薬剤師の介入は、慢性心不全を患う患者の全死亡率を有意に低下させ(0.72[0.58〜0.89])、QOLを向上させました。

コメント

薬剤師の処方介入による効果に関する報告が増えています。しかし、一貫した結果は得られておらず、更なる研究が求められます。

さて、本試験結果によれば、アンブレラレビューにおいて、薬剤師の介入は、リスク因子のコントロールから、服薬アドヒアランスの改善、状況によっては罹患率や死亡率の低下まで、心血管疾患管理における幅広い利益を提供できる可能性が示されました。

有料の論文であることから、なかなか批判的吟味が難しいところではありますが、全体の17%弱を占める中程度の質のメタ解析の結果であることは念頭におきたいところです。まだまだ充分に検討されているとは言えません。

また、どのようなアウトカムに対して、薬剤師による介入効果が最大化するのかについても、検討した方が良いと考えられます。

続報に期待。

man in white laboratory coat standing in front of an elderly woman

✅まとめ✅ 本アンブレラレビューにおいて、薬剤師の介入は、リスク因子のコントロールから、服薬アドヒアランスの改善、状況によっては罹患率や死亡率の低下まで、心血管疾患管理における幅広い利益を提供できるかもしれない。

根拠となった試験の引用

目的:ランダム化対照試験(RCT)の公表されたメタ解析から、薬剤師の介入による心血管リスク因子および心血管アウトカムへの効果を評価したエビデンスを評価すること。

方法:MEDLINE、Embase、Cochrane Libraryをデータベース開設から2021年7月まで検索した。RCTのメタ解析を対象とした。エビデンスの質はGRADEアプローチで評価した。

結果:9,308件の論文から、149件のフルテキスト論文の適格性を評価し、薬剤師の介入が心血管リスク因子および心血管アウトカムに及ぼす影響を評価した。85件の独自のメタ解析を含む24件の研究を選択した。全体として、71.7%(61/85)のユニークなメタ解析で、薬剤師の介入の有意な影響が示された。エビデンスの質については、63.4%のメタ解析で大きな異質性(I2>50%)が認められ、GRADEアプローチに基づく質の評価は、1.2、16.5、32.9、49.4%がそれぞれ高、中、低、極低とされた。中程度の質のメタ解析では、薬剤師の介入はリスク因子(血圧の6/3mmHg低下、脂質コントロール、血糖コントロール、禁煙率の上昇など)を有意に軽減し(プールオッズ比[95%信頼区間]それぞれ1.91 [1.55〜2.35]、3.11[2.3, 4.3]、2.3[1.33〜3.97])、服薬遵守を改善した(同 1.67[1.38〜2.02])。さらに、薬剤師の介入は、慢性心不全を患う患者の全死亡率を有意に低下させ(0.72[0.58〜0.89])、QOLを向上させた。

結論:本アンブレラレビューにおいて、薬剤師の介入は、リスク因子のコントロールから、服薬アドヒアランスの改善、状況によっては罹患率や死亡率の低下まで、心血管疾患管理における幅広い利益を提供できることを示す説得力のあるエビデンスを見出した。

キーワード:心血管疾患、介入、メタアナリシス、薬剤師、アンブレラレビュー

引用文献

Effects of pharmacist interventions on cardiovascular risk factors and outcomes: An umbrella review of meta-analysis of randomized controlled trials
Wipharak Rattanavipanon et al. PMID: 35174525 DOI: 10.1111/bcp.15279
Br J Clin Pharmacol. 2022 Jul;88(7):3064-3077. doi: 10.1111/bcp.15279. Epub 2022 Mar 10.
— 読み進める bpspubs.onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1111/bcp.15279

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