そもそも COI ってなんですか?
COI(Conflict of Interest:利益相反)とは、専門家としての社会的責任と産学連携の活動に伴い生じる利益などが衝突・相反する状態のことをいいます。
例えば、ディオバン事件では、製薬メーカーの社員が、研究データの解析を行っていましたが、この事実は論文公表時には明らかとされていませんでした。明らかに利益供与がある人が、所属等を明らかにしないまま研究成果公表に関わることは大きなバイアスを生んでしまいます。
COI(Conflict of Interest:利益相反)の種類
COIは、アカデミックCOIと経済的COIに大別され、個人的なCOIと同様に組織的なCOIに対する検討、対応が求められます。しかし、学会発表等をみてみるとCOI = 経済的COIのみが取り上げられ、「本学会発表におけるCOIはございません」の発表が大半であると思います。
アカデミックCOI | 経済的COI | |
個人的COI | 個人の専門性と好み 昇進 キャリア形成 | 個人の専門性と好み 昇進 キャリア形成 |
組織的COI | 学会・研究会が推奨する専門性 学会・研究会の学問的発展 利害関係のある他組織との競争 | 特定の企業/団体から学会・研究会への経済的支援 学会・研究会の経済的発展 |
医学など科学論文におけるCOIの捉え方
では、何らかのCOIを有する人(研究員)が論文の執筆者(author)に加わっていると、質の低い研究となってしまうのでしょうか?
答えはノーです。論文の批判的吟味において特に重要であることは、診療ガイドラインや論文の研究実施あるいは作成方法(Methods)に記載されている内容が妥当であるか、そして透明性があるか否かです。過度に陰謀めいたことを疑っても検証困難であることから、時間の無駄となってしまいます。
科学論文における方法の妥当性に注視し、結果をみながら、研究の強みと限界、そして今後、明らかにした方が良いことについて思考を深めた方が良いと考えます。
✅まとめ✅ COI(Conflict of Interest:利益相反)とは、専門家としての社会的責任と産学連携の活動に伴い生じる利益などが衝突・相反する状態のこと
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