心血管疾患を伴う痛風患者へのフェブキソスタットとアロプリノール、どちらがより安全に使用できますか?(DB-RCT; 非劣性; CARES trial; NEJM 2018)

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Cardiovascular Safety of Febuxostat or Allopurinol in Patients with Gout

William B White et al.

N Engl J Med. 2018 Mar 29;378(13):1200-1210. doi: 10.1056/NEJMoa1710895. Epub 2018 Mar 12.

PMID: 29527974

DOI: 10.1056/NEJMoa1710895

Funded by Takeda Development Center Americas

ClinicalTrials.gov number, NCT01101035 .

背景

痛風患者では心血管リスクが増加する。

痛風および心血管疾患を有する患者を対象に、非プリン性キサンチンオキシダーゼ阻害薬であるフェブキソスタットと、プリン塩基アナログキサンチンオキシダーゼ阻害薬であるアロプリノールとの心血管アウトカムを比較した。

方法

痛風および心血管疾患患者を対象とした多施設共同二重盲検非劣性試験を実施し、患者はフェブキソスタット投与群とアロプリノール投与群にランダム割り付けされ、腎機能に応じて層別化された。

この試験では、主要エンドポイント(心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、または緊急の再灌流を伴う不安定狭心症の複合体)のハザード比の非劣性マージンは1.3と事前に設定されていた。

結果

・合計6,190例の患者がランダム化され、フェブキソスタットまたはアロプリノールの投与を受け、中央値 32ヵ月(最大85ヵ月)の追跡調査を受けた。

患者の56.6%で試験レジメンが中止され、45.0%で追跡調査が中止された。

・修正意図対治療分析では、一次エンドポイントイベントが発生したのはフェブキソスタット群335例(10.8%)、アロプリノール群321例(10.4%)であった。

★ハザード比 1.03、片側98.5%信頼区間[CI]の上限 1.23;非劣性についてはP=0.002

・全死亡率と心血管死亡率は、フェブキソスタット群の方がアロプリノール群よりも高かった。

  • 全死亡:ハザード比 1.22、95%CI 1.01~1.47
  • 心血管死亡:ハザード比 1.34、95%CI 1.03~1.73

・患者が治療を受けている間に発生したイベントの解析における主要エンドポイント、全死亡および心血管死亡に関する結果は、修正されたintention-to-treat解析の結果と同様であった。

結論

痛風および主要な心血管疾患を併発している患者において、フェブキソスタットは心血管有害事象の発生率においてアロプリノールよりも劣っていなかった。

全死亡率と心血管系死亡率は、フェブキソスタットの方がアロプリノールよりも高かった。

コメント

今更ながら論文の抄録を書いていなかったことに気がつきました。FDAが課した臨床試験CARESの批判的吟味はこちらです↓

その後、欧州医薬品庁が製薬メーカーに推奨し実施されたFAST試験では、全死亡率及び心血管死亡率について、CARES試験と結果が異なっていました。論文の抄録についてはこちら↓

痛風患者の心血管安全性に対するフェブキソスタットとアロプリノールの効果はどのくらいですか?(PROBE; 欧州 FAST trial; Lancet 2020)
フェブキソスタットの心血管系の安全性に関する懸念を受け、欧州医薬品庁は、アロプリノールと比較したフェブキソスタットの心血管系の安全性を評価するための承認後試験(post-licensing study)を推奨した。

FDAとEMAが各々課していた臨床試験(CARES試験とFAST試験)の結果は異なっていました。患者背景が異なるため、一概には結論づけられませんが、内的妥当性についてはFAST試験の方が高いと考えます。また、観察研究の結果においてもフェブキソスタット使用による全死亡率及び心血管系死亡率のリスク増加は認められていません。

CARES試験で示唆された全死亡率及び心血管死亡率のリスク増加は、あくまでも仮説生成的な結果です。また試験からの脱落も多いことから、内的妥当性が低い可能性があります。さらに認められたリスク増加の程度について、個人的にはそこまで大きくないと考えます。どのような患者背景でリスクが最大化するのかについて捉え、リスクを回避することが肝要なのではないでしょうか。

✅まとめ✅ 心血管疾患を伴う痛風患者において、フェブリクはアロプリノールより全死亡率および心血管系死亡率が高いかもしれないが、試験からの脱落が多いため結果の解釈に注意を要する

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