Impact of oral corticosteroids on respiratory outcomes in acute preschool wheeze: a randomised clinical trial
Alexandra Wallace et al.
Arch Dis Child. 2020 Oct 16;archdischild-2020-318971. doi: 10.1136/archdischild-2020-318971. Online ahead of print.
PMID: 33067310
DOI: 10.1136/archdischild-2020-318971
Keywords: general paediatrics; respiratory.
目的
急性喘鳴を伴う就学前の小児への経口プレドニゾロン投与が呼吸器アウトカムに影響を与えるかどうかを検討すること。
試験デザイン
二重盲検、ランダム化、プラセボ対照の同等性試験。
試験設定
ニュージーランドの3つの病院。
対象患者
呼吸器疾患を伴う急性喘鳴を呈した生後24~59ヵ月の小児477例。
介入
2mg/kg(最大40mg)の経口プレドニゾロンまたは同様のプラセボを1日1回3日間投与。
主要アウトカム指標
主要アウトカムは介入後24時間後のPreschool Respiratory Assessment Measure(PRAM)スコアの変化。
副次的アウトカムとして、4時間後のPRAMスコア、救急科と入院の滞在期間、入院率と代表率、通常の活動に戻るまでの時間、追加の経口プレドニゾロンまたは点滴薬の使用が含まれた。
解析はintention-to-treatで行った。
結果
・24時間後のPRAMスコアの変化について、群間差はなかった。
★平均値の差 -0.39、95%CI -0.84~0.06、p=0.09
・PRAMスコアの絶対値はプレドニゾロン群で4時間後(中央値(IQR)1(0-2) vs. 2(0-3)、p=0.01)と24時間後(0(0-1) vs. 0(0-1)、p=0.01)に低値を示し、初期治療にかかわらずほとんどの小児で症状が消失した。
・入院率、追加のプレドニゾロン経口投与の必要性、および静脈内投与の必要性はプレドニゾロン群の方が低かったが、通常の活動に戻るまでの時間や7日以内の代表率については群間で差はなかった。
結論
経口プレドニゾロンは、急性喘鳴を呈した未就学児の24時間以降の呼吸器アウトカムに変化を与えない。
コメント
急性喘鳴とは?
喘鳴は「ゼーゼー」という呼吸音が、聴診器を使用しなくても聞こえる症状です。
急性の喘鳴は、一般的に喘息やCOPDに併発することが多く、また小児では、急性気管支炎においても認められる症状です。
喘鳴の治療には、気管支拡張薬の他、ステロイドが用いられますが、ステロイドが呼吸器アウトカムに及ぼす影響は充分に検討されていません。
今回の臨床試験から分かったことは?
本試験結果によれば、急性喘鳴に対する経口プレドニゾロンは、プラセボと比較して、24時間後のPRAMスコア*に差がありませんでした。
個人的には意外な結果です。なんとなくステロイドで喘鳴など呼吸器症状が緩和すると思っていたからです。急性喘鳴において、炎症はそこまで関与していないのかもしれないですね。
PRAMスコアとは?
*小児呼吸器評価尺度(PRAM)スコアは、小児喘息の重症度評価に用いられている指標です。
PRAM scoreの詳細についてはこちら↓
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