鉄欠乏貧血の成人患者に対する鉄サプリメントとビタミンC併用は、鉄サプリメント単独と同等ですか?(単施設 Open-RCT; JAMA Netw Open. 2020)

red bloodcells on white surface Anemia 貧血
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The Efficacy and Safety of Vitamin C for Iron Supplementation in Adult Patients With Iron Deficiency Anemia: A Randomized Clinical Trial

Nianyi Li et al.

JAMA Netw Open. 2020.

PMID: 33136134

DOI:10.1001/jamanetworkopen.2020.23644

Trial registration: ClinicalTrials.gov Identifier: NCT02631668.

試験の重要性

鉄欠乏性貧血(IDA)患者に対して、経口鉄サプリメントと一緒に日常的に使用されるビタミンCが必須であるかどうかは依然として不明である。

目的

鉄欠乏性貧血(IDA)患者における経口鉄剤+ビタミンCまたは経口鉄剤単独の同等性を比較し、安全性を評価すること。

試験デザイン、設定、および参加者

この単施設、非盲検、同等性ランダム化臨床試験は、2016年1月1日から2017年12月30日まで、復旦大学華山病院で実施された。

新たにIDAと診断された成人患者が登録された。参加者は、経口鉄剤+ビタミンC群または経口鉄剤のみの群に無作為に割り付けられた(1:1)。データ解析は2018年3月~12月に実施した。

介入

患者は、100mgの経口鉄剤+200mgのビタミンCを3ヵ月間、1日8時間ごとに投与する群と、100mgの経口鉄剤のみを3ヵ月間投与する群にランダム割り付けされた。

主要アウトカムと測定法

主要アウトカムはベースラインから投与2週間後までのヘモグロビン値の変化であり、同等の有効性を示すためにヘモグロビン値の同等性マージンを1g/dLとした。

副次的アウトカムは、投与2週間後の網状球率の変化、投与4週間後のヘモグロビン値の上昇、投与8週間後の血清フェリチン値の上昇、有害事象とした。

結果

・ランダム化された患者 440例(経口鉄サプリメント+ビタミンC群、鉄のみの群 各220例;女性 426例[96.8%];平均[SD]年齢 38.3[11.7]歳)のうち、すべての患者が主要アウトカムの評価を受け、432例(98.2%)が試験を終了した。

・ベースラインから2週間後までのヘモグロビン値の平均(SD)変化量は、経口鉄剤+ビタミンC群で2.00(1.08)g/dL、経口鉄剤のみの群で1.84(0.97)g/dLであり(群間差 0.16g/dL、95%CI -0.03~0.35g/dL)、同等性の基準を満たしていた。

・ベースラインから8週間後までの血清フェリチン値の平均(SD)変化は、ビタミンC+鉄剤群で35.75(11.52)ng/mL、鉄剤単独群で34.48(9.50)ng/mLであった。

★群間差 1.27ng/mL、95%CI -0.70~3.24ng/mL、P = 0.21

・有害事象の発生率に関しては、2群間に有意差はなかった(46例[20.9%] vs. 45例[20.5%];差 0.4%、95%CI -6.7%~8.5%;P = 0.82)。有害事象を理由に試験を中止した患者はいなかった。

結論および関連性

IDA患者において、経口鉄サプリメント単独では、ヘモグロビンの回復と鉄吸収の改善において、経口鉄サプリメント+ビタミンCと同等の効果が得られた。

これらの所見は、IDA患者において、オンデマンドのビタミンCサプリメントは経口鉄剤と一緒に摂取することは必須ではないことを示唆している。

コメント

鉄欠乏性貧血とは?

原因により貧血の種類はいくつかありますが、日本で一般的*であるのが鉄欠乏性貧血です。

鉄欠乏性貧血の原因は、重度の出血や生理により引き起こされる体内の鉄分の減少であることが多く、治療としては鉄剤(経口、静注)の投与が一般的です。

*米国では食品添加物の1つとして鉄が添加されているため、鉄欠乏性貧血は稀なようです

貧血治療のための鉄はビタミンCと摂取すると良い?

食物に含まれる鉄イオンは、十二指腸の表面にある柔毛から吸収されることが古くから知られていましたが、詳細なメカニズムは不明でした。

兵庫県立大学大学院生命理学研究科の澤井仁美助教と理化学研究所放射光科学研究センターの杉本宏専任研究員を中心とした共同研究グループは、大型放射光施設「SPring-8」を利用して、ヒトの鉄吸収メカニズムに関わる膜タンパク質の立体構造を世界で初めて解明しました(研究論文はこちら↓)。

Structural basis for promotion of duodenal iron absorption by enteric ferric reductase with ascorbate - PubMed
Dietary iron absorption is regulated by duodenal cytochrome b (Dcytb), an integral membrane protein that catalyzes reduction of nonheme Fe3+ by electron transfe...

この研究結果によれば、食物に含まれるビタミンCや有機酸が鉄分の吸収効率を向上させる仕組みが原子レベルで明らかになりました。

つまり鉄分の吸収を高めるために、ビタミンCを併用すれば良さそうというわけです。

貧血治療における鉄剤にビタミンCを併用する方が良い?

先ほどの研究を少し解説しますと、食べ物からの鉄は非還元型であるFe3+で存在しており、ビタミンCや有機酸によりFe2+に還元されることで体内への鉄吸収が増加すると考えられます。

一方で、医療用医薬品は、還元型の鉄Fe2+として体内に供給可能な硫酸鉄徐放剤や有機酸鉄(フェロミア®️やフェルム®️など)です。理論的には、これらの医療用医薬品にビタミンCを併用しても吸収効率の増加は期待できないと考えられます。

今回の研究結果からわかることは?

鉄欠乏性貧血患者を対象に、経口鉄剤(コハク酸第一鉄)100mg+ビタミンC 200mgと、鉄剤(コハク酸第一鉄)100mgを1日8時間毎に摂取した場合、ベースラインから投与2週間後までのヘモグロビン値は同等でした。またベースラインから8週間後までの血清フェリチン値についても群間差は認められませんでした。さらに有害事象の発生率についても差が認められませんでした。

本邦ではコハク酸第一鉄は、医薬品として承認されていませんが、承認されている医薬品に含まれる鉄はFe2+であり、試験結果を外挿できる可能性は高いです。ただし、本邦で用いられる用量は100〜200mgですので、そこは結果の解釈に注意が必要です。

✅まとめ✅ 鉄欠乏性貧血患者のベースラインから投与2週間後までのヘモグロビン値において、経口鉄サプリメント100mg摂取は、鉄100mg+ビタミンC 200mg併用と同等であった

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