Contribution of individual components to composite endpoints in contemporary cardiovascular randomized controlled trials
AsimShaikhMBBS et al.
American Heart Journal Available online 15 September 2020
目的
心血管ランダム化比較試験(RCT)では、統計学的な力を高めるために複合エンドポイントを主要評価項目として設定するのが一般的である。 しかし、個々の構成要素のエンドポイントが複合エンドポイント全体のアウトカムに及ぼす影響については、まだ十分な研究がなされていない。
方法
2011年から2017年までにハイインパクトジャーナル6誌(Lancet、New England Journal of Medicine、Journal of American Medical Association、Circulation、Journal of American College of Cardiology、European Heart Journal)に掲載されたRCTをMEDLINEで検索した。
複合アウトカムを報告した2群並行デザインの心血管系RCTを対象とした。 全ての原因または心血管系死亡、心筋梗塞(MI)、心不全、脳卒中を「ハード」エンドポイントとし、入院、狭心症、再灌流を「ソフト」エンドポイントとした。
複合アウトカムの種類(一次または二次)、複合アウトカムおよびその構成要素の治療群および対照群におけるイベント率を、事前に定義された基準に基づいて算出した。
結果
・複合アウトカムを利用した45.8%(316/689件)の心血管系RCTのうち、79.4%が複合アウトカムを主要評価項目とした。
・死亡が最も多く(89.8%)、次いでMI(66.1%)であった。
・約80%の試験が各成分の完全なデータを報告していた。
・試験147件(46.5%)が「ソフト」エンドポイントを複合アウトカムの一部として組み込んでいた。
・複合因子の効果推定値への寄与は死亡が最も小さく(R2変化=0.005)、再灌流が最も大きかった(R2変化=0.423)。
結論
心血管系のRCTでは複合エンドポイントが頻繁に用いられており、50%近くの研究では「ソフト」エンドポイントが構成要素として含まれている。
複合エンドポイントのイベント率が高いと、臨床的意義の低いエンドポイントの寄与が大きいため、治療効果の誤解を招くような解釈をしてしまう可能性がある。
コメント
近年、臨床試験のアウトカムとして「複合アウトカム」が多用されています。疾患に対する薬剤効果を総合的に検討できる反面、イベント数が増えることにより、薬剤効果を過大解釈する可能性があります。臨床試験の中でも複合アウトカムをより多く用いているのは、心血管系のランダム化比較試験です。ここで問題となるのが、複合アウトカムの構成要素に加えられる「ソフトアウトカム」です。
オープンラベルとソフトアウトカムの組み合わせによるバイアスリスクについては言うまでもありません。ハードアウトカムと比較して、ソフトアウトカムでは相対的にイベント発生率が高く、複合アウトカムに組み入れられた場合、ハードアウトカムに群間差がなくとも、複合アウトカムで群間差が認められることがあります。
さて、本試験結果によれば、インパクトファクターが高い6誌(Lancet、New England Journal of Medicine、Journal of American Medical Association、Circulation、Journal of American College of Cardiology、European Heart Journal)において、心血管系RCTのうち複合アウトカムを利用した試験は45.8%(316/689件)、複合アウトカムを主要評価項目とした試験は79.4%でした。さらに、ソフトアウトカムを複合アウトカムに組み入れていた試験は46.5%、
さて、本試験結果によれば、インパクトファクターが高い6誌(Lancet、New England Journal of Medicine、Journal of American Medical Association、Circulation、Journal of American College of Cardiology、European Heart Journal)において、心血管系RCTのうち複合アウトカムを利用した試験は45.8%(316/689件)、複合アウトカムを主要評価項目とした試験は79.4%でした。さらに、ソフトアウトカムを複合アウトカムに組み入れていた試験は46.5%、効果推定値への寄与が最も大きかったのはソフトアウトカムである再灌流でした。
やはり、複合アウトカムの解釈は慎重に行う必要があると考えます。
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