IVIG抵抗性の川崎病患者におけるシクロスポリン上乗せ効果はどのくらいですか?(PROBE; KAICA trial; Lancet 2019)

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Efficacy of Primary Treatment With Immunoglobulin Plus Ciclosporin for Prevention of Coronary Artery Abnormalities in Patients With Kawasaki Disease Predicted to Be at Increased Risk of Non-Response to Intravenous Immunoglobulin (KAICA): A Randomised Controlled, Open-Label, Blinded-Endpoints, Phase 3 Trial

Hiromichi Hamada et al.

Lancet. 2019

PMID: 30853151

DOI: 10.1016/S0140-6736(18)32003-8

Funding: Japan Agency for Medical Research and Development (grant CCT-B-2503).

背景

遺伝学的研究では、川崎病の病因における活性化T細胞経路の上方制御されたカルシウム核因子関与の可能性を示している。

冠動脈の異常から川崎病患者を保護するために、この経路を標的とする免疫抑制薬であるシクロスポリンの安全性と有効性を評価することを目的とした。

方法

2014年5月29日から2016年12月27日までの間に、日本の22病院を対象としたランダム化非盲検盲検エンドポイント試験を実施した。

静脈内免疫グロブリン(IVIG)耐性のリスクが高いと予測される適格な患者は、リスクスコア、年齢、性別で層別化されたIVIG+シクロスポリン(5 mg / kg/日を5日間、試験治療)群またはIVIG(従来の治療)群ランダムに割り当てられた。

主要エンドポイントは、12週間の試験中に日本の基準に基づいた冠動脈異常の発生率であり、少なくとも1用量の治験薬を投与され、治療中に少なくとも1回治験施設を訪れた参加者で評価された。

本試験は、日本医師会臨床試験センター、番号JMA-IIA00174に登録されている。

調査結果

・参加者175人を登録した。1人の患者は登録後に同意を撤回したため除外され、もう1人の患者(研究治療群)は心エコー検査データ欠損のため分析から除外された。

・冠動脈異常の発生率は、研究治療群の方が従来の治療群よりも低かった(86人のうち12 人[14%] vs. 87人のうち27 人[31%])。

★リスク比 = 0.46; 95%CI 0.25〜0.86; p = 0.010

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・有害事象の発生率に群間差は認められなかった(9% vs. 7%; p = 0.78)。

結果の解釈

一次治療とIVIGおよびシクロスポリンの併用は、IVIG低反応性と予測される川崎病患者の好ましい冠動脈転帰に対して安全かつ効果的だった。

コメント

日本からの研究報告。PROBE法を使用しているためアウトカム判定にバイアスが入りやすいか否か、つまり測定バイアスがあるかどうかが重要であると考えられます。

さて、本試験の冠動脈異常の定義は「処置後3日から12週間における、厚生労働省によって定義された基準に従って診断された:各冠動脈の絶対直径が5歳未満の子供では3 mm以上、5歳以上の子供では4 mm以上、または、冠状動脈内径の相対的な増加(隣接セグメントまたはベースライン値≥1/ 5)。」とのこと。アウトカムをみる限りでは、バイアスが入りづらいと考えられる。

本試験のアウトカムは、一般的にソフトアウトカムであるが、冠動脈異常(管動脈瘤)の有る無しで、その後の治療や通院タイミングがかなり変わります。また家族にとっても、冠動脈瘤が無いことで、かなり安心できます。ここは間違いないです。つまり5年死亡などのハードアウトカムはもちろん大事なのですが、誰にとって真のアウトカムなのか?ここを考察し続けるこたが肝要であると思います。

IVIGを開始するタイミングが重要なのはもちろんなのですが、やはり治療抵抗性の患者さんはいます。その方々への治療選択肢の1つとなると良いですね。なんたって川崎病は、生後11か月までが罹患しやすいです。尽くせる手は尽くしたいですよね。ネオーラル®️に川崎病が適応追加されたのも本試験のおかげかな。

ちなみに川崎病の定義は次のとおり:「6つの主要な症状のうち少なくとも5つがあった患者は、川崎病と診断された。6つの主要な症状のうち4つだけであっても冠動脈の異常がある場合、川崎病と診断される。しかし、冠動脈異常の予防に対する川崎病治療の効果を評価するために、これらの患者を除外した。発熱症状が5日間続いた場合、1つの主要な症状として割り当てられた。 しかし、4日以内に解熱する患者は、他の発熱性疾患の疑いなく他の4つの主要な症状があったときに川崎病と診断される可能性があった。」

✅まとめ✅ IVIG抵抗性であると予測される川崎病患者ではIVIG+シクロスポリン治療により冠動脈異常リスクが低下する

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