女性における抗うつ薬抵抗性大うつ病性障害に対する低用量テストステロン増強療法の効果はどのくらいですか?(RCT; Am J Psychiatry. 2020)

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Low-Dose Testosterone Augmentation for Antidepressant-Resistant Major Depressive Disorder in Women: An 8-Week Randomized Placebo-Controlled Study

Laura E Dichtel et al.

Am J Psychiatry. 2020 Jul 14;appiajp202019080844. doi: 10.1176/appi.ajp.2020.19080844. Online ahead of print.

PMID: 32660299

DOI: 10.1176/appi.ajp.2020.19080844

Keywords: Antidepressant-Resistant Depression; Augmentation; Major Depressive Disorder; Placebo Effect; Testosterone.

目的

低用量テストステロンは、正式に大うつ病性障害と診断されていない女性を対象とした小規模研究において、うつ病症状の重症度、疲労、および性機能を改善することが示されている。

著者らは、抗うつ薬抵抗性大うつ病の女性において、低用量の経皮吸収型テストステロンの併用がうつ病症状の重症度、疲労、性機能を改善するかどうかを検討した。

機能的MRI(fMRI)サブスタディでは、気分調節に重要な脳領域である前帯状皮質(ACC)の活動に対する効果を調べた。

方法

著者らは、21~70歳の抗うつ薬抵抗性大うつ病の女性101例を対象に、テストステロンクリームの併用療法について、8週間のランダム化二重盲検プラセボ対照試験を実施した。

主要評価項目は、Montgomery-Åsberg Depression Rating Scale(MADRS)で評価されたうつ病症状の重症度であった。

副次評価項目は疲労、性機能、安全性であった。fMRIサブスタディ(N=20)の主要アウトカムはACC活動の変化であった。

結果

・参加者の平均年齢は47歳(SD=14)、ベースラインのMADRSスコアの平均値は26.6(SD=5.9)であった。参加者87例(86%)が8週間の治療を終了した。

・MADRSスコアは両群ともベースラインから8週目まで低下した(テストステロン投与群:26.8[SD=6.3]から15.3[SD=9.6]、プラセボ投与群:26.3[SD=5.4]から14.4[SD=9.3])が、群間に有意差はなかった。

・fMRIの結果、治療前のACC活性化とアンドロゲンレベルとの関係は認められたが、テストステロンによるACC活性化はプラセボ群と比較して差はなかった。

結論

経皮吸収型テストステロン併用療法は、忍容性は良好であったが、うつ病、疲労、性機能障害の症状改善にプラセボ以上の効果は認められなかった。参加者のサブセットのイメージングでは、テストステロンはACCのより大きな活性化をもたらさないことが示された。

コメント

過去の小規模な検討において、正式に大うつ病性障害と診断されていない女性での低用量テストステロン使用により、うつ病症状の重症度、疲労、および性機能を改善することが報告されていました。しかし、本研究結果では、MADRSスコアは両群ともベースラインから8週目まで低下したものの群間差は有意ではありませんでした。本研究も小規模ではありますが、どうやら抗うつ薬抵抗性大うつ病の女性に対するテストステロンクリーム併用療法は効果がなさそうです。

またMARDSスコアについては、MCIDが1.6〜1.9と報告されていますが、実臨床での効果を反映させるためには、まだまだ検討が必要なようです。

✅まとめ✅ 抗うつ薬抵抗性大うつ病の女性における低用量の経皮吸収型テストステロンの併用は、プラセボと比較して、うつ病、疲労、性機能障害の症状改善が認められなかった

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