2型糖尿病患者の心血管アウトカムに対するSGLT2阻害薬 Ertugliflozinの効果はどのくらいですか?(DB-RCT; VERTIS CV; NEJM 2020)

Cardiovascular Outcomes with Ertugliflozin in Type 2 Diabetes

Christopher P. Cannon et al.

New England Journal of Medicine, September 23, 2020
DOI: 10.1056/NEJMoa2004967

Funded by Merck Sharp & Dohme and Pfizer

ClinicalTrials.gov number, NCT01986881.

背景

ナトリウム-グルコースコトランスポーター2(SGLT-2)阻害薬であるertugliflozin(エルツグリフロジン)の心血管系への影響は確立されていない。

方法

多施設共同二重盲検試験では、2 型糖尿病と動脈硬化性心血管系疾患の患者を対象に、エルツグリフロジン5 mgまたは15 mg、またはプラセボを1日1回投与する群にランダム割り付けした。

解析のために2用量のエルツグリフロジン投与群のデータをプールし、主要評価項目である主要有害心血管イベント(心血管系原因による死亡、非致死的心筋梗塞、または非致死的脳卒中の複合体)に関してエルツグリフロジンのプラセボに対する非劣性を示すことを主な目的とした。

非劣性マージンは1.3(主要有害心血管イベントのハザード比[エルツグリフロジン vs. プラセボ]の95.6%信頼区間の上限)であった。最初の重要な副次的転帰は、心血管系の原因による死亡または心不全による入院の複合体であった。

結果

・合計8,246例の患者がランダム化を受け、平均3.5年間追跡された。エルツグリフロジンまたはプラセボを少なくとも1回投与された患者8,238例のうち、エルツグリフロジン群では5,493例中653例(11.9%)に、プラセボ群では2,745例中327例(11.9%)に重篤な心血管系の有害事象が発生した。

★ハザード比 0.97、95.6%信頼区間[CI] 0.85~1.11;非劣性P<0.001

・心血管系の原因による死亡または心不全による入院は、エルツグリフロジン群で5,499例中444例(8.1%)、プラセボ群で2,747例中250例(9.1%)に認められた。

★ハザード比 0.88、95.8%信頼区間[CI] 0.75~1.03;優越性P=0.11

・心血管原因による死亡のハザード比は0.92(95.8%CI 0.77~1.11)、腎原因による死亡、腎代替療法による死亡、血清クレアチニン値の倍増のハザード比は0.81(95.8%CI 0.63~1.04)であった。下肢切断は、プラセボ群45例(1.6%)と比較して、エルツグリフロジン5mg投与群54例(2.0%)、15mg投与群57例(2.1%)であった。

結論

2型糖尿病および動脈硬化性心血管系疾患を有する患者において、エルツグリフロジンは、主要な心血管系有害事象に関してプラセボよりも劣っていなかった。

コメント

2型糖尿病は、健常人と比較して糖尿病合併症、中でも予後に重大な影響を与えるような心血管イベントのリスク増加が報告されており、治療戦略として、血糖コントロールに加え心血管イベントの抑制が求められます。微小血管イベントについては早期かつ継続的な血糖コントロールにより、ある程度リスク増加を抑制できることが示されておりますが、一方、大血管イベントについては血糖コントロールのみではリスク増加を抑制できないことが示されています。

さて、2型糖尿病患者に対する本邦未承認のSGLT2阻害薬 エルツグリフロジン使用は、プラセボと比較して、重篤な心血管系の有害事象に統計的な有意差はありませんでした(ハザード比 0.97、95.6%信頼区間[CI] 0.85~1.11;非劣性P<0.001)。一方、心血管系の原因による死亡または心不全による入院について、プラセボと比較して、エルツグリフロジンの優越性は認められました。

主要アウトカムは、心血管系原因による死亡、非致死的心筋梗塞、または非致死的脳卒中の複合であり、個々の構成要素の結果は以下のようでした;

  • 心血管系原因による死亡:0.92(95.8%CI 0.77〜1.11)
  • 非致死的心筋梗塞   :1.04(95.8%CI 0.86〜1. 27)
  • 非致死的脳卒中    :1.00(95.8%CI 0.76〜1.32)

心不全による入院は、0.70 (95.8%CI 0.54〜0.90)でした。

これまでエンパグリフロジン(ジャディアンス®️)、カナグリフロジン(カナグル®️)、ダパグリフロジン(フォシーガ®️)で認めれたような、心血管イベントへの効果は示されませんでした。

試験デザインにより、統計的な有意差が得られるか否かに差が生じることを考慮すると、SGLT2阻害薬による心血管イベントの抑制効果は得られたとしても非常に小さい効果なのかもしれません。一方でソフトアウトカムである心不全による入院に対しては、イベントの抑制効果があることは間違いなさそうです。SGLT2阻害薬の作用機序から考察すれば当然の結果なのかもしれません。

✅まとめ✅ 2型糖尿病患者の心血管アウトカムに対するSGLT2阻害薬 エルツグリフロジンは、プラセボと比較して、心血管アウトカムにおいて劣っていなかったが、優れてもいなかった

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