ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウムは透析前高カリウム血症の発症率を低下できますか?(DB-RCT; DIALIZE trial; J Am Soc Nephrol. 2019)

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A Phase 3b, Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Study of Sodium Zirconium Cyclosilicate for Reducing the Incidence of Predialysis Hyperkalemia

Steven Fishbane et al.

J Am Soc Nephrol. 2019 Sep;30(9):1723-1733. doi: 10.1681/ASN.2019050450. Epub 2019 Jun 14.

PMID: 31201218

PMCID: PMC6727265 (available on 2020-09-01)

DOI: 10.1681/ASN.2019050450

Keywords: clinical trial; end-stage renal disease; hemodialysis.

背景

末期腎障害(End Stage Renal Disease, ESRD)患者は腎カリウム排泄量が少なく、血液透析にもかかわらず、透析前の高カリウム血症が持続することが多い。DIALIZE試験(NCT03303521)では、血液透析患者の高カリウム血症の管理におけるジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム(SZC)を評価しました。

方法

二重盲検、プラセボ対照、第3b相多施設共同試験であるDIALIZE試験では、週3回の血液透析で管理され、透析前に高カリウム血症を呈した成人ESRD患者を対象に、非透析日にプラセボまたはSZC 5gを1日1回投与し、4週間にわたって正常カリウム血症維持に向けて5g刻みで最大15gまで漸増した。

主要評価項目は、4週間の安定投与評価期間中に、透析間インターバルが長くなった後の透析治療4回のうち3回以上で透析前の血清カリウム値が4.0~5.0mmol/Lを維持し、血清カリウム値を低下させるための緊急のレスキュー治療を必要としなかった患者の割合とした。

結果

・合計196例(平均[標準偏差(SD)]年齢=58.1[13.7]歳)の患者を、SZCまたはプラセボにランダム割り付けした。

SZCを投与された97例のうち、41.2%が主要エンドポイントを満たし、治療効果が認められたのに対し、プラセボを投与された99例の1.0(P<0.001)であった。

・治療期間中に血清カリウムを減少させるためのレスキュー療法が必要とされたのは、SZC投与群の2.1%、プラセボ投与群の5.1%であった。

重篤な有害事象は、SZC投与群で7%、プラセボ投与群で8%に発現した。両群間で同程度の体重増加が認められた。低カリウム血症のエピソードはほとんどなかった。

結論

SZCは、十分な血液透析を受けているESRD患者の透析前高カリウム血症に対して有効で忍容性の高い治療法である。

コメント

ESRD患者において、不均衡症候群、高血圧、低血圧、貧血、感染症、二次性副甲状腺機能障害・高リン血症、アミロイド骨関節症、高カリウム血症などの合併が認められます。中でも高リン血症は心血管イベントや総死亡に関与しており、また既存薬でのコントロールが不十分な患者が多く、まだまだアンメットな領域であると考えます。

Patiromer(本邦未承認)やジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム(ロケルマ®️)は、既存薬と比較して副作用や相互作用が少ない、高カリウム血症に対する治療薬です。

さて、本試験結果によれば、末期腎障害(End Stage Renal Disease, ESRD)患者の高カリウム血症に対するジルコニウムシクロケイ酸ナトリウム使用は、プラセボと比較して、緊急のレスキュー治療を必要としなかった患者の割合が有意に高値でした(41.2% vs. 1.0%, P<0.001)。

有害事象については、プラセボと比較して、ジルコニウムシクロケイ酸ナトリウムで便秘がやや多いようです(相対的に下痢が少ない傾向)。その他の有害事象については、プラセボと比較して、目眩や鼻咽頭炎が少ないようです。ただし、約70日間の検討結果ですので、長期使用による安全性については不明です。安全性については他の情報に当たる必要があると考えます。

また既存薬との比較試験がないため、比較試験の結果も待たれるところです。

✅まとめ✅ ESRD患者の透析前高カリウム血症に対するジルコニウムシクロケイ酸Naは、プラセボと比較して、レスキュー治療を必要としなかった患者の割合が高く、認容性も高かった

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