1型糖尿病および早期から中期の糖尿病性腎疾患患者におけるアロプリノール使用はeGFR低下を抑制できますか?(DB-RCT; PERL trial; NEJM 2020)

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Serum Urate Lowering With Allopurinol and Kidney Function in Type 1 Diabetes

Alessandro Doria et al.

N Engl J Med. 2020 Jun 25;382(26):2493-2503. doi: 10.1056/NEJMoa1916624.

PMID: 32579810

DOI: 10.1056/NEJMoa1916624

Funded by the National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases and others

ClinicalTrials.gov number, NCT02017171.

背景

血清尿酸値の上昇は糖尿病性腎疾患のリスク上昇と関連している。アロプリノールによる血清尿酸値の低下は、1型糖尿病および早期から中期の糖尿病性腎疾患患者の糸球体濾過率(GFR)の低下を遅らせる可能性がある。

方法

二重盲検試験において、1型糖尿病、血清尿酸値が4.5 mg/dL以上、GFRが40.0~99.9 mL/min/1.73m2、糖尿病性腎疾患が認められた被験者をアロプリノール投与群とプラセボ投与群にランダム割り付けした。

主要アウトカムは、3年後と2カ月間のウォッシュアウト期間を加えた後の、イオヘキソールを用いて測定したベースライン調整GFRであった。

副次的アウトカムとして、イオヘキソールを用いた1年間のGFR低下、およびウォッシュアウト後の尿中アルブミン排泄率が評価された。また安全性も評価した。

結果

・合計267例の患者がアロプリノール投与群に、263人がプラセボ投与群に割り付けられた。平均年齢は51.1歳、糖尿病の平均罹病期間は34.6年、平均糖化ヘモグロビン値は8.2%であった。

・ベースラインのイオヘキソールベースの平均GFRは、アロプリノール群では68.7 mL/min/1.73m2、プラセボ群では67.3 mL/min/1.73m2であった。

・介入期間中の平均血清尿酸値は、アロプリノール群では6.1 mg/dLから3.9 mg/dLに低下し、プラセボ群では6.1 mg/dLに留まった。

・ウォッシュアウト後のイオヘキソールベースの平均GFRの群間差は、0.001 mL/min/1.73m2であった(95%信頼区間[CI] -1.9~1.9;P=0.99)。

・イオヘキソールベースのGFR平均低下は、アロプリノールでは3.0 mL/min/1.73m2/year、プラセボでは2.5 mL/min/1.73m2/yearであった。

★群間差 -0.6 mL/min/1.73m2/年、95%信頼区間 -1.5~0.4

・ウォッシュアウト後の平均尿中アルブミン排泄率は、アロプリノールの方がプラセボよりも 40%(95%CI 0~80%)高かった。

・重篤な有害事象の発生頻度は両群で同程度であった。

結論

1型糖尿病および早期から中期の糖尿病性腎疾患患者において、アロプリノールによる血清尿酸値の低下が腎臓の転帰に及ぼす臨床的に意味のある有益性を示す証拠は認められなかった。

結論

GFR低下における高尿酸血症との関連性が報告されています。しかし、介入研究の報告は少なく、尿酸値を低下させることで、GFRを低下させられるのかについては不明なままでした。

さて、本試験結果によれば、1型糖尿病および早期から中期の糖尿病性腎疾患患者において、アロプリノール使用は、プラセボと比較して、GFR低下を抑制できませんでした。

フォローアップは3年2ヶ月、主要アウトカムはITT解析でした。サンプルサイズは1群あたり240例(α=0.05, power=80%)と計算され、全体で530例が登録されました。したがって、試験デザインに大きな問題はないと考えます。

個人的には少し残念な結果ですが、現在のところ、尿酸値の低下はGFR低下を抑制できなそうです。

✅まとめ✅ 1型糖尿病および早期から中期の糖尿病性腎疾患患者に対するアロプリノール使用はGFR低下を抑制しなかった

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