The Use of Renin Angiotensin System Inhibitor on Mortality in Patients With Coronavirus Disease 2019 (COVID-19): A Systematic Review and Meta-Analysis
Raymond Pranata et al.
Diabetes Metab Syndr. 2020 Jun 27;14(5):983-990. doi: 10.1016/j.dsx.2020.06.047. Online ahead of print.
PMID: 32615377
PMCID: PMC7319940
DOI: 10.1016/j.dsx.2020.06.047
Keywords: Angiotensin converting enzyme inhibitor; Angiotensin receptor blocker; COVID-19; Coronavirus; Hypertension.
背景および目的
アンジオテンシン変換酵素阻害薬（ACEI）／アンジオテンシン受容体拮抗薬（ARB）の使用と高血圧性COVID-19患者のアウトカムとの関連を調べるために、システマティックレビューおよびメタアナリシスを実施した。
方法
PubMed、EuropePMC、ProQuest、Cochrane Central Databasesを「(COVID-19 OR SARS-CoV-2) AND (アンジオテンシン変換酵素 OR アンジオテンシン受容体拮抗薬)」の用語で系統的に検索した。
主要アウトカムは死亡率（非生存者）、第二アウトカムは重症COVID-19であった。
結果
・研究15件から合計7,410例の患者が含まれた。
・プール解析の結果、ACEI/ARBの使用は死亡率（OR =0.73［0.38〜1.40］、p＝0.34；I2 =81％）および重症度（OR =1.03［0.73〜1.45］、p＝0.87；I2 =65％）とは関連していなかった。
・プール調整済みORは、死亡率に関してACEI/ARB使用に関連するリスク/ベネフィットを示さなかった。
★OR =0.83、0.54〜1.27、p = 0.38；I2 =0%
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・サブグループ解析では、ARBの使用は死亡率の低下と関連していた（OR =0.51［0.29〜0.90］、p = 0.02；I2 =22％）が、ACEIサブグループでは関連していなかった（OR =0.68［0.39〜1.17］、p = 0.16；I2 =0％）。
・メタ回帰では、COVID-19患者におけるACEI/ARB使用と死亡率との関連は、性別によって差がないことが示された（p＝0.104）。
・GRADEは、死亡率と重症度に対するACEI/ARBの効果について、証拠の確実性が非常に低いことを示した。ACEIとARBの両方のサブグループでエビデンスの確実性は非常に低かった。
結論
レニンアンジオテンシン系（RAS）阻害薬の投与は、高血圧患者におけるCOVID-19の死亡率または重症度の増加とは関連していなかった。特に、ACEIではなくARBの使用は死亡率の低下と関連していた。
コメント
RAS阻害薬とCOVID-19との関連性については、これまでも多くの研究が報告されています。COVID-19の重症度や死亡率との関連性については否定的な報告が多いです。
さて、今回の研究結果によれば、ACEI/ARBの使用は死亡率（OR =0.73［0.38〜1.40］、p＝0.34；I2 =81％）および重症度（OR =1.03［0.73〜1.45］、p＝0.87；I2 =65％）とは関連していませんでした。ただし効果推定値として、有意差はないものの、リスクは低下傾向です。
またサブグループ解析では、ARB使用は死亡率の低下と関連していました（OR =0.51［0.29〜0.90］、p = 0.02；I2 =22％）が、ACEI使用とは関連していませんでした（OR =0.68［0.39〜1.17］、p = 0.16；I2 =0％）。ただし、サブ解析においても、ACEI使用による死亡リスクは低下傾向でした。
少なくとも現時点において、RAS阻害薬使用によるCOVID-19の重症度および死亡リスクの増加はほぼないと考えます。
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