The Role of Vitamin D in the Prevention of Coronavirus Disease 2019 Infection and Mortality
Petre Cristian Ilie et al.
Aging Clin Exp Res. 2020 May 6;1-4. doi: 10.1007/s40520-020-01570-8. Online ahead of print.
PMID: 32377965
PMCID: PMC7202265
DOI: 10.1007/s40520-020-01570-8
Keywords: COVID-19; Calcitriol; Cholecalciferol; SARS-CoV2; Vitamin D.
Funding: No source of funding was used.
背景・目的
WHOはSARS-CoV-2を世界的なパンデミックと宣言した。本研究の目的は、COVID-19による症例と死亡率との間に、各国のビタミンD平均値との間に潜在的な関連性があるという仮説を提案することであった。
方法
この仮説を検証し、交絡バイアス(緯度など)を制限するために、ヨーロッパ諸国のみを対象とした。
各国のビタミンDの平均値について文献を検索した。
各国のCOVID-19/1M集団の症例数と本疾患による死亡率/1M集団(4月8日19.00GMT)を検索した。
その結果、ヨーロッパ20ヵ国のビタミンDの平均値とCOVID-19による罹患率・死亡率を取得した。
統計解析はピアソン相関係数計算機を用いて行った。
結果
・各国の平均ビタミンD値(平均56.79nmol/L、STDEV 10.61)とCOVID-19/1 M罹患者数(平均1393.4、STDEV 1129.984)との間には負の相関が認められた [r(20)= -0.4435、p値=0.050]。
・また平均ビタミンD値とCOVID-19/1 Mによる死亡者数[平均80.42、STDEV 94.61、との間にも負の関係が認められた [r(20)-値= -0.4378;p値=0.05]。
結論
ビタミンDレベルは、特にスペイン、イタリア、スイスの高齢者では深刻な低さを示している。これはCOVID-19に関連して最も脆弱な集団でもある。
疾患の重症度の異なるCOVID-19患者におけるビタミンDレベルについて、専用の研究を行うことが望ましい。
コメント
これまでの観察研究では、血清25-ヒドロキシビタミンD濃度の低さと急性呼吸器感染症への感受性との間に独立した関連が報告されています。またランダム化比較試験25件のシステマティックレビューとメタアナリシスにおいて、ビタミンDが急性呼吸器感染症の罹患を抑制する可能性が示されています。ただし、これらの知見は、あくまでも仮説生成的な結果であり、因果の逆転(逆因果)の可能性が高いです。
さて、本研究により、ビタミンD値とCOVID-19罹患・死亡との間に負の相関が認められました。ただし、前述の通り、介入試験ではないため、あくまでも仮説生成的な結果です。また因果の逆転も充分ありえます。今後の研究結果を待ちたいところです。
ちなみに過去の研究では、高齢者(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31420647/)や2歳未満の小児(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29813149/)、健康集団(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23815596/)におけるビタミンDの補給は感染症の罹患リスクを低下させませんでした。ただし、高齢者を対象とした研究では、月1回の高濃度ビタミンD投与です。
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