小児のフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病においてダサチニブとイマチニブはどちらが優れていますか?(Open-RCT JAMA Oncol. 2020)

Effect of Dasatinib vs Imatinib in the Treatment of Pediatric Philadelphia Chromosome-Positive Acute Lymphoblastic Leukemia: A Randomized Clinical Trial.

Shen S et al.

JAMA Oncol. 2020 Jan 16.

doi: 10.1001/jamaoncol.2019.5868.

PMID: 31944221

PMCID: PMC6990720

TRIAL REGISTRATION: Chinese Clinical Trial Registry: ChiCTR-IPR-14005706.

試験の重要性

小児フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ芽球性白血病(ALL)に対して、第二世代のAbl-チロシンキナーゼ阻害薬ダサチニブが第一世代の阻害薬イマチニブメシル酸塩よりも有効であるかどうかを決定するために、ランダム化臨床試験が必要とされている。

試験の目的

予防的頭蓋照射を行わない集中化学療法において、フィラデルフィア染色体陽性の小児急性リンパ芽球性白血病(ALL)患者のイベントフリー生存期間を改善するために、ダサチニブ(投与量:80mg/m2/日)がイマチニブメシル酸塩(投与量:300mg/m2/日)よりも有効であるかどうかを判断する。

試験デザイン、設定、参加者

この非盲検第3相ランダム化臨床試験は、中国の20病院で実施された。

登録は2015年1月1日から2018年9月18日まで行われ、ランダム化は試験の早期中止基準を満たした2018年10月4日に中止された。

0~18歳の患者を募集した。診断を受けた患者225人のうち、35人が参加を辞退し、1人が治療前に死亡したため、189人の患者が解析対象となった。

データは2019年1月1日から8月4日まで解析された。

介入

患者は、寛解導入時に診断された時点から継続治療終了までのALL療法の全期間、毎日ダサチニブ(n=92)またはイマチニブ(n=97)を継続的に投与されるようにランダムに割り付けられた。

主要アウトカムと測定方法

主要アウトカムはイベントフリー生存期間であり、治療意図に基づいて解析された。

副次的アウトカムは再発、薬剤毒性による死亡、全生存率であった。

結果

・参加者 189人(男性 136人[72.0%]、年齢中央値 7.8[四分位間距離(IQR)5.2~11.3]歳)、追跡期間中央値 26.4ヵ月(IQR 16.3~34.1)のうち、4年間のイベントフリー生存率および全生存率は 71.0%(95%CI 56.2%~89.6%)、88%であった。

・ダサチニブ群ではそれぞれ 71.0%(95%CI 56.2%〜89.6%)および 88.4%(95%CI 81.3%〜96.1%)、イマチニブ群ではそれぞれ 48.9%(95%CI 32.0%〜74.5%、P =0.005、log-rank test)および 69.2%(95% CI、55.6%〜86.2%、P =0.04、log-rank test)であった。

・4年間の累積再発リスクは、ダサチニブ群で 19.8%(95%CI 4.2%〜35.4%)、イマチニブ群で 34.4%(95%CI 15.6%〜53.2%)であった(P =0.01、Gray test)。一方、単発性中枢神経系再発の4年累積リスクはダサチニブ群で 2.7%(95%CI 0.0%〜8.1%)、イマチニブ群で 8.4%(95%CI 1.2%〜15.6%)であった(P =0.06、Gray test)。

・重篤な毒性作用の頻度には、両群間で有意差はなかった。

結論と関連性

ダサチニブを含む集中化学療法は、フィラデルフィア染色体陽性ALLの治療において、80mg/m2/日の投与量で、イマチニブメシル酸塩 300mg/m2/日の投与量と比較して優れた結果をもたらし、予防的な頭蓋照射を行わなくても中枢神経系白血病の優れたコントロールが可能であった。

コメント

診療ガイドライン(小児白血病・リンパ腫の診療ガイドライン2016)によれば、フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(ALL)は、t(9:22)(q34:q11)転座を有するALLであり、小児ALL全体の3〜5%を占めるようです。好発年齢は2〜5歳、小児人口10万人あたり3〜4人/年の発症(新規患者は約500人/年)が見込まれるようです。

第一世代のチロシンキナーゼ阻害薬(Tyrosine Kinase Inhibitor, TKI)であるイマチニブ(グリベック®️)が2001年に承認されるまでは、造血細胞移植(Stem Cell Transplantation, SCT)が化学療法単独よりも優れた治療成績を示していたようです。そのためイマチニブ登場前は、基本的に第一寛解期でのSCTが標準治療でした。

さて、今回の試験では第二世代TKIであるダサチニブ(スプリセル®️)とイマチニブを比較検討しています。

結果としてはイマチニブと比較し、ダサチニブの方が有効でした。

4年間のイベントフリー生存率および全生存率の絶対差は、22.1%(NNT=5)および19.2%(NNT=6)と、ダサチニブでかなり高いです。

放射線を使用しなくて良いところも、大きなメリットだと考えます。また有害事象(毒性作用)に差はないようです。

コストについて、ダサチニブに後発品はありませんが、有効性が大きいため、また予防的な頭蓋照射が不要なことを加味すると、コストが高くてもダサチニブを使用した方が良いと考えます。

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