Efficacy of a Tetravalent Dengue Vaccine in Healthy Children Aged 4-16 Years: A Randomised, Placebo-Controlled, Phase 3 Trial
Shibadas Biswal et al.
Lancet. 2020
PMID: 32197105
DOI: 10.1016/S0140-6736(20)30414-1
ClinicalTrials.gov, NCT02747927.
Funding: Takeda Vaccines.
背景
デングウイルス感染症に対する安全で効果的なワクチン、特にデング未感染者や 9 歳未満の子供を対象とした ワクチンの開発が望まれている。
本研究では、4~16 歳の健常児を対象に、生ワクチン(TAK-003)の有効性、安全性、免疫原性を評価することを目的とした。
方法
本試験は、アジア・中南米の流行地域(ブラジル、コロンビア、ドミニカ共和国、ニカラグア、パナマ、フィリピン、スリランカ、タイの 26 の医療・研究センター)で実施された第 3 相ランダム化化二重盲検比較試験における接種後 18 ヶ月までのデータを報告する。
4~16歳の健常児を2:1の割合でランダムに割り付け、TAK-003を2回投与する群と、プラセボを2回投与する群に3ヶ月間隔で割り付けた。
治験責任医師、参加者及びその保護者、治験実施に助言を与える治験依頼者の代表者は、試験群の割り付けについて盲検化された。
発熱を呈した試験参加者は、血清型特異的RT-PCRによりウイルス学的にデング熱(VCD)の検査を受けた。
2回目の接種から30日後に開始したタイムフレームでは、最初の11ヵ月間に主要評価項目(ワクチン全体の有効性)を、最初の17ヵ月間に副次評価項目(ベースラインの血清状態、血清型、入院したデング熱、重症デング熱)を評価した。
知見
・2016年9月7日から2017年8月18日までの間に、20,099人の参加者がランダムに割り付けられワクチン接種を受けた。
Per protocol: 19,021人(94.6%)
Safety set: 20,071人(99.9%)
・主要評価項目では、ワクチン全体の有効性は80.2%(95%CI 73.3~85.3、デングワクチン群のVCD61例 vs. プラセボ群のVCD149例)で達成された。 また、副次評価項目の評価期間においては、ワクチン全体で73.3%(95%信頼区間66.5~78.8)の有効性が認められた。
・副次評価項目の解析では、ベースライン時に血清陽性者で76.1%(95%CI 68.5~81.9)、血清陰性者で66.2%(49.1~77.5)、入院デング熱に対して90.4%(82.6~94.7)、デング出血熱に対して85.9%(31.9~97.1)の有効性が示された。
・有効性は血清型によって異なっていた。
DENV 1:69.8% [95%CI 54.8~79.9]
DENV 2, 95.1% [89.9~97.6]
DENV 3, 48.9% [27.2~64.1]
DENV 4, 51.0% [-69.4~85.8]
・重篤な有害事象の累積発生率は、デングワクチン投与群(4.0%)とプラセボ投与群(4.8%)で同程度であり、本試験における予想される疾患と一致していた。
・重篤な有害事象の原因としては、感染症が最も多かった。
・第2部終了時までに21件の有害事象により20名(安全性の0.1%未満)の参加者が試験から離脱したが、そのうち14名がデングワクチンを投与され、6名がプラセボを投与された。
結果の解釈
4価デングワクチンは、予防接種前の血清状態にかかわらず、小児における症候性デング熱に対して忍容性と有効性を示した。
ワクチンの有効性は血清型によって異なっており、より長期的なワクチンの有効性を評価するために継続的な追跡調査が必要であった。
コメント
デングワクチンについては、有害事象がプラセボより多くなければ、基本的にした方が良いと考えています。
地球温暖化が進めば、日本も安心していられません。またデング熱感染後に有効な治療法はなく対処療法のみです。
血清型により有効性が異なりますし、血清抗体の保有率でも変わりますので、抗体検査は必須です。これはWHOの見解とも一致しています。
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