離脱症状を呈すアルコール使用障害者に対するガバペンチンの効果はどのくらいですか?(RCT; JAMA Intern Med. 2020)

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Efficacy of Gabapentin for the Treatment of Alcohol Use Disorder in Patients With Alcohol Withdrawal Symptoms: A Randomized Clinical Trial.

Anton RF et al.

JAMA Intern Med. 2020 Mar 9.

doi: 10.1001/jamainternmed.2020.0249. [Epub ahead of print]

TRIAL REGISTRATION: ClinicalTrials.gov Identifier: NCT02349477.

PMID: 32150232

DOI: 10.1001/jamainternmed.2020.0249

試験の重要性

推定3,000万人がアルコール使用障害(AUD)の基準を満たしているが、適切な薬物療法を受ける人はほとんどいない。よりパーソナライズされた、症状固有のアプローチは、有効性と受容性を改善する可能性がある。

目的

ガバペンチンがAUDの治療、特にアルコール離脱症状が最も多い患者に有用であるかどうかを検討する。

試験設計、設定、参加者

2014年11月から2018年6月に実施された本二重盲検ランダム化臨床試験では、16週間の治療期間にわたって学業外来でスクリーニングおよび治療を受けたコミュニティ募集参加者のガバペンチンとプラセボを評価した。

精神障害の診断および統計マニュアル(第5版)のAUD基準を満たし、他のAUD介入を受けていない合計145人の治療を求めている個人がスクリーニングされ、最近の禁酒基準も満たした96人が禁酒3回後に治療にランダム化された。

毎日の飲酒を記録し、大量飲酒マーカーである血液中のジシアロ炭水化物欠乏トランスフェリンの割合を、ベースラインおよび治療中に毎月収集した。

介入

・ガバペンチン(経口投与、最大1200 mg/d)

・プラセボ

 ※どちらの群も治療と合わせて医療管理訪問を9回受けた(各20分)

主なアウトカムと測定

大量飲酒のない群と完全に禁酒している群の割合を治療グループ間で比較し、研究前のアルコール離脱症状に基づいてさらに評価した。

結果

・96人のランダム化された個人のうち、90人が評価可能であり(ガバペンチン群で44人、プラセボ群で46人)、平均年齢は49.6(SD 10.1)歳だった。69人が男性(77%)、85人が白人(94%)だった。

・評価可能な参加者は、ベースラインの重度飲酒日が83%(女性は1日4杯以上、男性は5杯以上)であり、精神障害の診断および統計マニュアル(第5版:the Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders 5th edition)の禁酒基準4.5を満たしていた。

・ガバペンチン治療を受けた群では、プラセボ(参加者4/46人[9%])と比較して、重度の飲酒日はなかった(参加者12/44人[27%])。

★治療差 = 18.6%、95%CI 3.1〜34.1; P = 0.02、治療に必要な数[NNT] = 5.4

・またガバペンチン群は、プラセボ(2/46人 [4%])と比較して、より多くの総禁欲(8/44人 [18%])を示した。

★治療差 = 13.8%、95%CI 1.0〜26.7; P = 0.04、NNT = 6.2

・研究前の高アルコール禁酒グループは、低アルコール禁酒期間中に、ガバペンチンの効果はプラセボと比較して、大量飲酒日なし(P < 0.02; NNT = 3.1)および総禁欲(P = 0.003; NNT = 2.7)を示したが、低アルコール禁酒では有意差が認められなかった。

・これらの知見は、他の飲酒変数についても同様であり、ガバペンチンは、高アルコール禁断群のみでプラセボよりも効果が高かった。

・ガバペンチンはより多くのめまいを引き起こしたが、これは効力に影響しなかった。

結論と関連性

これらのデータは、他のデータと組み合わせて、ガバペンチンがAUDおよびアルコール離脱症状の既往のある人に最も効果的である可能性を示唆している。

今後の研究では、ガバペンチンの有効性のメディエーターとして、早期回復中の睡眠の変化と気分を評価する必要がある。

コメント

日本におけるガバペン®️(ガバペンチン)の適応症は「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する抗てんかん薬との併用療法」だけです(2020年3月現在)。

さて、本試験結果によると、アルコール使用障害およびアルコール離脱症状の既往のある患者に対して有効とのこと。ただしアルコール摂取量が高い群でのみプラセボに対して有効とのこと。2014年にも同様の研究結果が得られています。ただし、いずれもサンプルサイズは100前後。今後の研究結果が待たれるところです。

✅まとめ✅ アルコール離脱症状を有すアルコール使用障害者に対してガバペンチン 1,200mg/日は大量飲酒日やアルコール欲求を減らす

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