Stability of SARS-CoV-2 in different environmental conditions
Alex W HChin et al.
The Lancet Microbe Available online 2 April 2020
Support: National Institute of Allergy and Infectious Diseases, National Institutes of Health (contract HHSN272201400006C), the Croucher Foundation
PMID: 未
背景
我々は以前に、異なる臨床検体から重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)が検出されたことを報告している。
方法・結果
まず、異なる温度でのSARS-CoV-2の安定性を測定した。SARS-CoV-2をウイルス輸送培地(最終濃度約6~8 log unit of 50%組織培養感染量[TCID50]/mL)中で14日間培養した後、その感染性を試験した。
ウイルスは4℃では非常に安定であるが、熱には敏感である。4℃では、14日目の感染力価の低下は0~7 log-unit程度であった。培養温度を70℃に上げると、ウイルスの不活化時間は5分に短縮された。
さらに、異なる表面上におけるウイルスの安定性を調べた。ウイルス培養物(∼7·8 log unit of TCID50/mL)の液滴5μLを表面(∼cm2/piece)にピペッティングし、約65%の相対湿度で室温(22℃)に放置した。
所望の時間点で回収された接種物は、直ちに200μLのウイルス輸送培地に30分間浸してウイルスを溶出させた。したがって、このウイルスの回収は、必ずしもカジュアルな接触からウイルスを拾う可能性を反映したものではない。
インキュベーション3時間後、印刷用紙やティッシュペーパーからは感染性ウイルスは回収されなかった。また2日目に処理された木材や布からは感染性ウイルスは検出されなかった。一方、SARS-CoV-2は滑らかな表面でより安定していた。
4日目(ガラスと紙幣)と7日目(ステンレスとプラスチック)には、処理された滑らかな表面からは感染性ウイルスは検出されなかった。驚くべきことに、7日目には、サージカルマスクの外層に検出可能なレベルの感染性ウイルスがまだ存在していた(元の接種量の約0〜1%)。興味深いことに、感染性SARS-CoV-2の二相性の減衰が、今回用いた物質の滑らかな表面から回収されたサンプルでみられた。
代表的な非感染性サンプル39検体は、RT-PCRによって陽性であったことから、非感染性ウイルスがまだ溶離液によって回収され得ることが示された。
また、15μLのSARS-CoV-2培養物(∼7·8 log unit of TCID50/mL)を135μLの種々の消毒剤に添加して、消毒剤のウイルス性効果を試験した。ハンドソープを用いた5分間の培養を除いては、室温(22℃)で5分間培養しても感染性ウイルスは検出されなかった。さらに、SARS-CoV-2は、室温での広い範囲のpH値(pH 3-10)で極めて安定であることも明らかにした。全体として、SARS-CoV-2は好ましい環境下では非常に安定であるが、標準的な消毒方法にも影響を受けやすい。
コメント
基礎研究の検討結果。以前にも同様の研究が報告されていますが、本研究の特徴はサージカルマスクでのSARS-CoV-2滞在期間についても検討している点。ウイルス塗布後7日目においても、感染性を有したSARS-CoV-2が存在していた。また一般的な感染予防措置により、物質におけるウイルスの滞在期間は短くなった。
あくまでも基礎的な研究結果であるため、仮説生成までしか述べられませんが、基本的には、人が触れたり、くしゃみや咳による飛沫が付着したと考えられる部分には、アルコール消毒等をすればウイルスを不活化できると考えられます。
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